深海のYrr
(★★★☆☆ 星3つ)
(★★★☆☆ 星3つ)
簡単に箇条書きに。
良い点:
- Yrrの正体が従来にありがちなクリーチャーでなく、新しい。
- パニックムービーやSFにあまり出てこないロケーションが舞台になっているのは新鮮
- ベースにする知識フィールドが広範に渡るので展開が飽きない
今ひとつな点:
- スケールは大きく描かれているのだが(擬音で表すなら、「ゴゴゴゴゴ……」)、大風呂敷を拡げすぎて結末が中途半端。話を回収し切れていない。
- ハリウッド的お約束の展開。映画化を意識しすぎ。
- ベースとなる知識を読者に埋め込む際に「僕、よく下調べしたでしょ?」的叙述が目立って、小説として文章を楽しむ人には不向き。
- 紙数を使いすぎ。前半じれったく、中盤ややダル。3分の2くらいに圧縮できるはず。
- 叙情に流れすぎの所とアクションの展開のみで内容の薄い所とのバランスが微妙。
- 映画を引き合いに出しすぎ。物語展開に入り込もうとした頭をその都度醒めさせてしまう。
結論:
読んでも損ではないが、作者の目論見どおり映画化が決定しているので、映画を(それもレンタルされた頃に)観れば済むかも。時間がある時の暇つぶしには向いている。