ブックレビュー『釈迦』


瀬戸内寂聴(著)


(★★★★★ 星5つ)

釈迦の涅槃入りの時期を、釈迦に司えた一番弟子のアーナンダの立場から記しているが、回想の形で釈迦の一生と、それを取り巻く人々の物語が非常に分かりやすく書かれているので、仏教徒でなくとも内容が理解しやすい。

また、あまり聞かれることのない尼僧の話や、出家するまでの扇情的な恋物語が描かれているのは、瀬戸内寂聴ならではの筆致で、非常に面白い。

人の世の営み、心の動きというのは今も昔も変わらないものがあることを教えてくれる。