付き合い遍歴 その10 二人を死が分かつまで


護が実家に帰る時、一旦形としては関係を解消した。が、お互い心は離れておらず、俺も護も毎日電話をかけて、長話をした。夏休みには、二人して函館に旅行に行った。俺は飛行機で函館入りし、護は青函トンネルを抜けて函館で待ち合わせた。僅か2泊3日の旅行だったが、楽しさが詰まっていた。

護が帰京したのは、秋のことだ。住み込み寮のある仕事を見つけて、越してきた。寮は近所で、自転車で行き来できる距離だった。お互いの中間地点にあったファミレスに、二人で風呂屋に行った帰りによく立ち寄り、夜お茶をしながらだらだら過ごした。自然とまた一緒に住もうという話になった。「今度は2DKね」と護が言うので、俺は金を貯めつつ部屋を探し始めた。

秋も深まってきたある午後、護と近所に出かけていたら、急な雨に降られた。雷を伴う激しい降りで、俺の部屋の方が近かったので、びしょ濡れになりながら二人して駆け込んだ。吉弘は留守だった。タオルで体を乾かしながら、護は急に俺の方を向き直り、真っ直ぐ見据えて言った。「俺が東京に戻る気になったのは、あんたが東京で頑張ってると思ったからだよ」と。そしてこうも言った。「あんたと俺は一生このままよ」と。

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