シャンパーニュレビュー Yves Louvet Cuvée de Selection Brut


シャンパーニュは「女子」の飲み物と思っている人はいないだろうか? 少なくとも飲みつけた人ならばそんな人はほとんどいるまい。皇帝、政治家からジェームズ・ボンドまで、著名なシャンパーニュには愛好者に多くの男性の名を見ることができる。味わいも様々で、軽やかで華やかな香りと味でフィネスを感じさせるものから、骨太でダイナミック、飲みごたえ十分なものまで千差万別。今回のこれは、男性っぽさを感じる一本。

Yves Louvet Cuvée de Selection Brut
Yves Louvet Cuvée de Selection Brut

Yves Louvet Cuvée de Selection Brut(イヴ・ルーヴェ キュヴェ・ド・セレクション ブリュット)は、トキシエール村(Tauxierers)のメゾンのスタンダード・キュヴェ。聞き慣れない村名だが、ブージィの隣と聞くとピンと来る。ブージィはパワフルなピノ・ノワールで有名だ。ただ、隣とはいっても少し違えば収穫されるぶどうの性質は大きく違うことも少なくない。ブージィは特級だが、トキシエールは1級。だが、Yves Louvetは評判が良いようだ。そこでどんな工夫がなされているのか、興味深く飲むことにした。

エチケットにはPREMIER CRUの文字。
エチケットにはPREMIER CRUの文字。

Yves Louvet Cuvée de Selection Brutのセパージュ(使用されるぶどう品種の割合)は、ピノ・ノワールが4分の3、シャルドネが4分の1。スタンダードでありながら、4年の熟成期間を経て出荷される。

開栓してグラスに注ぐと色は淡い。僅かにピノ・ノワールのオレンジめいた麦わら色。レモンピールのような爽やかな香り。

色は淡い。
色は淡い。

しかし、色の淡さや、柑橘系の香りとは裏腹に、味わいは力強い。コクとキレ、というと何やらドライビールのようだが、骨太だなあと感じる。これなら軽い鶏料理あたりなら全く問題なくペアリングできる。ミネラル感もある。しかしピノ・ムニエが使われているシャンパーニュのようなもったり感はない。その辺りのバランスが絶妙。

幾分素朴というか、地酒のような(レコルタン・マニピュランなのだからまさに地酒なのだが)ところがあって、そこを楽しめるとこのシャンパーニュを好きになるだろう。通向けの1本。