シャンパーニュレビュー Diebolt-Vallois Brut Tradition


Diebolt-Vallois(ディエボル・ヴァロワ)はシャルドネで有名なコート・デ・ブランのグランクリュ クラマン村に拠点を置く小さなレコルタン・マニピュラン(自社畑のぶどうで醸造する造り手)…と言いたいところだが、法的にはネゴシアン・マニピュラン。
NMなのに名前を聞いたことがないなと思ったら、創業者が畑を買い足したものが相続で渡った親戚名義になっており、そこから購入するぶどうがあるので区分としてはNMなのだとか。なのでDiebolt-Valloisは実質RMとでも言ったらいいだろうか。

そのメゾンの素性を試すには何よりまずスタンダード・キュヴェ。ということで、今回はこれ。

Diebolt-Vallois Brut Tradition
Diebolt-Vallois Brut Tradition

Diebolt-Vallois Brut Tradition(ディエボル・ヴァロワ ブリュット・トラディション)のセパージュ(使用されるぶどう品種の比率)は、クラマンの売りであるシャルドネが4割、ピノ・ノワールが3~4割、ピノ・ムニエが2~3割。ワイン・スペクテーターでは92ポイントと、好評を博しているようだ。

ちょっと分かりにくいがエチケット最下部にはNM表記が。
ちょっと分かりにくいがエチケット最下部にはNM表記が。

開栓すると色は淡い。泡はクリスピー。サッとグラス上部に層をなし、後は落ち着いて立ち上り続ける。

夜開けたのが飲み残し、これは翌日の昼間の様子。
夜開けたのが飲み残し、これは翌日の昼間の様子。

レモンやグレープフルーツの皮のような爽やかで端正な香りと酸、シャルドネのミネラル感がある。それだけだと厳しくて痩せた味わいになりがちだが、ボディの膨らみをピノ・ムニエで補われているように感じ、それだけに、飲み進めると多少酔いここちは重い。これは造りの問題でなく、俺の体質的にピノ・ムニエが大体4分の1を超えると酔った時に「ちょっとしんどいな」と思われるのだ。しかし、全体として丁寧な造りであると思う。

そんな味わいなので、サーブ温度は割と低めが良いようだ。飲み残して翌日味わった時にも丁寧な感じは失われておらず、手頃な価格でのこれは、手にして損はないだろう。

クラシックで可憐な薔薇模様のミュズレ。
クラシックで可憐な薔薇模様のミュズレ。

エチケットもミュズレもクラシックなデザインで、良き伝統に従って造られている印象。シャンパーニュもモダン化が進むなか、こうしたメゾンも大事な財産。