シャンパーニュレビュー Chartogne-Taíllet Cuvée Sainte Anne Brut


どうも安泰なメゾンの定番物に傾いている昨今、ようやくまだ飲んでいない物を飲んだ。レコルタン・マニピュラン(自社畑の自ぶどうで醸造する造り手)で、現在ここを担うのは1983年生まれの若き醸造家。しかしメゾンそのものの設立は1683年と古く、由緒正しい。

Chartogne-Taíllet Cuvée Sainte Anne Brut
Chartogne-Taíllet Cuvée Sainte Anne Brut

Chartogne-Taíllet Cuvée Sainte Anne Brut(シャルトーニュ・タイエ キュヴェ・サンタンヌ・ブリュット)はChartogne-Taílletのスタンダード・キュヴェ。熟成は36ヶ月以上、セパージュ(使用されるぶどう品種の割合)はピノ・ノワール5割、シャルドネ5割。

Chartogne-Taílletが本拠地とするのは、Merfy(メルフィ)という聞き慣れない所。綺羅星のごとく有名メゾンがひしめくランスから10数キロ北西の場所。18世紀にはぶどうがヴェルズネイやアイなどと同等の値がついた所らしい。ともあれ、そうネームバリューのある所でもないながら、注目されているということは、丁寧な作りで良いシャンパーニュなのだろう、と期待。

エチケットの中央には誇らしげに赤文字でMerfyの文字が。
エチケットの中央には誇らしげに赤文字でMerfyの文字が。

開栓してさっと立ち上る香りは品が良い。ここぞとばかりに芳ばしさを主張するでもないが、端正さを感じさせる。

グラスに注ぐと、淡めの色ながら少しオレンジに振れていて、ピノ・ノワールの主張を感じる。

少しオレンジに振れた色。
少しオレンジに振れた色。

味は、フレッシュさと熟成さのバランスが良い。果実のふくらみを感じる一方で、出で立ちがきりっとしている。リンゴやはちみつの香りをまといながら、ミネラル感もあるが、そのミネラル感は押し付けがましくないので、石灰質の土でも食わせられているような厳しい味のシャンパーニュに出くわした時のように、口を思わずすぼめる感じはなく、優しい気持ちにしてくれる。

つまみにはチーズ数種とくるみを用意した。
つまみにはチーズ数種とくるみを用意した。

スタンダードとはいえ懐は深く、チーズ数種を用意したが、極端に嫌うことがない。軽いウォッシュタイプや、マスカルポーネとゴルゴンゾーラのサンドイッチチーズともおいしく味わえる。素直に楽しめる良いシャンパーニュなので、穏やかに時間を楽しみたい親しい友人との一席や、夜のリラックスタイムには好適。(2015/9/12 記)