音楽レビュー All-4-One


Twenty+ (2015)


(★★★★★ 星5つ)




All-4-One。長らく記憶の底に眠っていた名前で、シルエットだけのジャケット写真では思い出せず、ネット検索してみて「ああそうだ、あの名曲”I Swear”の人達だった」と思いだした。1994年のヒット曲だ。とても美しいメロディーと、人種混成のグループであったのが印象に残っていた。結局EternalではLouiseが抜けるなどして、人種混成は難しいのかとも思わせる出来事と前後した頃だ。

それからアルバムタイトルどおり20余年の月日が流れ、このアルバムが出た。ちゃんとオリジナルメンバーが残っているのが嬉しい。実は”I Swear”の大ヒットの後も連綿とアルバムを出していて、このアルバムは2009年の”No Regrets”から6年しての発表。そしてヒット当時と同じく、R&Bというよりはポップな印象で、聴きやすい。メロディーがしっかりしているのは大きな美点だ。ポップであることは、決してミーハーであることではない。

収録曲の中にはこれまた懐かしのShanice WilsonとDebelahをフィーチャーした曲”Go To Bed”が入っていたり、R&Bがキラキラしていた頃を彷彿とさせる。この20余年のうちに自分には何があっただろう、何ができただろうと、自分史と照らし合わせながら聴くと、とてもせつなく、一層メロディーが滲みる。

そしてアルバムラストには”I Swear”が収録されている。清冽な愛のエバーグリーン。おそらくリ・レコーディングによるものだが、各ボーカリストの声の美しさはそのまま。こうした音楽に触れることができるのはとても幸せだ。当時を知らなかった人達には、このアルバムで是非体験してほしい。(2015/8/31 記)