音楽レビュー Elijah Blake


Shadows & Diamonds (2015)


(★★★☆☆ 星3つ)



Elijah Blakeと綴って「イライジャ・ブレイク」と読むんだそう。ソングライターとしてヒットを送り出した経歴があり、Trey Songz、Usher、Keyshia Coleなど、今風路線の立役者。

ソロとしてシンガーとしての才能も披露する本作では、そんなソングライティングの経歴もなるほどという曲調と作風が目立つ。本人の声とはよく合っているが、痩せた音数のR&Bは自分の好みではないし、ピッチシフトした間の手の男性ボーカルが入ったり、ローランドのTRシリーズそのままの打ち込みドラム音がしたりするのは「ああまたその手か」と思うし、そうした曲調では歌に瞠目すべき点を発見するのは難しい。バラード”Angel Dust”では張りのあるウルトラハイボイスを披露して才能の片鱗を見せつけるのだが、そうした能力を持っているにもかかわらず、である。

これが今の気分なのだろうし、曲を紡ぎ、市場に送り出すのは大変なことなのだろうと思うが、どうも本来的なパフォーマンスを発揮できているのだろうか、本人はこういうのが「本当に」好きなんだろうかと、色々考えさせられる。聴いて晴れ晴れした気分にもならないし、ハッピーにもならない。意義を必死に探りながら聴いているうちに、一枚聴き終えてしまった。(2015/8/28 記)