音楽レビュー Dianne Reeves

(★★★★★ 星5つ)
(★★★★★ 星5つ)

Beautiful Life (2013)


(★★★★★ 星5つ)

1曲目の”I Want You”を聴いて、意外さに「え??」と耳を疑った。今までのDianne Reevesとはまるで違う。ジャズの王道にしてこの人以外にはあり得ないインプロヴィゼーションに満ちた自由な歌いぶりではなかったからだ。レコード会社が四半世紀いたブルーノートから新しい会社に変わったのだという。そして移籍後はセールス的に外す訳にはいかなかったのだろう、有名曲のアレンジでもって手堅くまとめている。

そういえばこの手堅さに見えるポピュラー風の作風は、1990年のNever Too Far以来ではないかと思う。聴きこめばきちんと「ジャズしている」が、この聴きやすさには一抹の寂しさを感じずにはいられない。ジャズ界を盛り立てていることが彼女に持つ期待の一つでもあるからだ。

しかしそんなケチをつけつつも、やはり歌自体は素晴らしい。少し年齢なりに声質が枯れてきたかとも思うが、それはビンテージ楽器のそれと同じで、美点と捉えることができる。何にせよ、これは聴く必要のあるアルバムだ。(2013/12/17 記)

When You Know (2008)


(★★★★★ 星5つ)

安定しているというか、もうベテランの風格たっぷりなのに異論はない。が、90年代初期に出したアルバム”Never Too Far”や”I Remember”に見られるような、エモーションとインテリジェンスの融合のような結晶を堪能できるかと期待すると、聴く方が期待しすぎたのか、それとも本人が「歌い慣れ」しすぎてしまったのか、必要にして十分というレベルを超えてゆく何かがないような。

収録曲のうち”Lovin’ You”なんかは明らかに演らない方がいい気がする。せっかくのこのアルバムが、最近たくさんあるカバートリビュート系のアルバムに埋もれてしまう。
しかし、全般的に言えば、Dianne ReevesのDianne Reevesらしいカラフルな声色の使い分けは楽しむことができるアルバム。ケチはつけたがやはり最上。

Good Night, And Good Luck (2007)


(★★★★★ 星5つ)

映画のサウンドトラックだが、中身はすべてDianne Reevesで、実質上ソロアルバムと同じ。円熟味とソフィスティケイテッドなサウンドで、映画と関係なくこれだけで楽しむことができる。グラミーでBest Jazz Vocal Performance受賞も納得。

Bridges (1999)


(★★★★★ 星5つ)

詩情あふれる音で、ロマンティックでありながらどこか理性的。感情に任せきりにならず、知性のコントロールが効いているのが、Dianne Reevesのすごいところ。シックなのに暗くなりすぎず、華やかなのに華美でない。これぞ大人のジャズ。

That Day… (1997)


(★★★★★ 星5つ)

曲の向こうに奥深いストーリーを感じることができる。抑えた音数に映えるボーカル、完成された世界。”Will You Still Love Me Tomorrow?”などは必殺。このアルバムを室内でかけると、昼下がりでも夜でも雰囲気が一変する。そういう意味でも必殺。

The Grand Encounter (1996)


(★★★★★ 星5つ)

“The Grand Encounter”の名にふさわしく、素晴らしい作品との出会い、素晴らしいアーティストとの出会いが結実した名作。正統派ジャズの音作りだが、Dianne Reevesの声が伸びやかに響き、各曲を通じてのオリジナリティを醸し出している。

Art & Survival (1993)


(★★☆☆☆ 星2つ)

聴いたアルバムの中で唯一好きになれなかったアルバム。フリージャズというか、アバンギャルドでアグレッシブなスタイルを追求していて、音楽的に高度なのは分かるのだが、聴いていて辛かった。

前々作の”Never Too Far”が少しR&B寄りな分かりやすい曲が並んでいて気に入っていて、次の”I Remember”も良く、期待して聴いた作だけにショックで、以降、Dianne Reevesからは遠ざかってしまい、次作以降はリリースされて何年もしてから後追いで聴くことになってしまったほど。

I Remember (1991)


(★★★★★ 星5つ)

前作がポピュラー寄りだっただけに、本格ジャズの歌い手としてのDianne Reevesの実力を知った1枚。”I Remember Sky”で聴き手の目の前に青い空を描き出したかと思えば、”Softly As In A Morning Sunrise”で夜明けを醸し出し、”How High the Moon”で月をぽっかり浮かび上がらせる。何とも描写力の凄いアルバムで、至上の出来。

Never Too Far (1990)


(★★★★★ 星5つ)

初めてDianne Reevesを聴いたのがこのアルバム。これ以降は一貫して純粋なジャズだが、これは割とポピュラーな感じで、R&B寄りな感じもする。アフリカの匂いを感じさせるような展開もあって、聴いていて飽きない。ラストソングの”Company”は深い曲で、いつ聴いても(もちろん今も)感動する。

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