映画レビュー 遊星からの物体X ファーストコンタクト (The Thing)


(★★★★☆ 星4つ)



1982年のオリジナルがあまりに素晴らしく、異星人系・スプラッター系ホラー映画の金字塔であるがゆえに、そのprequelとしてのこの2011年版を星4つにせざるを得ない。
82年版はまず出だしからして衝撃的で、犬をヘリコプターから狙撃しようとするシーンから始まっており、次いで全滅したノルウェーの南極観測隊が見つかる。その後の怒涛の展開で、作品を鑑賞している際には、プロットの下敷きになっているノルウェー隊はどんなだったのかということには思いも及ばなず、見入るほどだ。
つまり、下敷きになる物語を映画の鑑賞者に任せてそこからを描き出しているのが82年版では作品に深みを与えているのだが、そうした物語の連続性が奥深さを演出するための背景エピソードを新しく映画として作るとは、アイディア的には面白いと思うものの、出来が不安でもあった。

しかし、2011年版も全般によくできていると言える。82年当時、CGもなくあのオリジナルを作ったというのが驚異だったが、時代が進歩した分、2011年版にはCGゆえ可能になったシーンも盛りだくさん。この映画を観る人は、おそらく82年版のバリエーションが見られれば満足と思って観るだろうから、2011年版の筋が似通っているのは観る前に織り込み済みであり、段々と人々が疑心暗鬼になっていくのも「ああ、あれか」と思えることだろう。その辺りをアレンジしてしまうと、オリジナルと矛盾してしまうから、これはこれでいいのだと思う。

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となると、2011年版で目新しさを出すのは、地球外生物が南極に降り立つことになったUFOのシーンにかかることになる。ここもまたCGの恩恵に預かることになるが、詳細に描けばSFスプラッター色は薄まるし、逆に足りないと筋ははかどらないしで、悩みどころだったのだろうと思うが、だいたい納得する線に落ち着いている。船内が『エイリアン』を思い起こさせる生体的デザインなのは、ある種のオマージュだろう。
そして、一旦飛び立とうとしたUFOはふたたび氷の下に取り残されたままとなっているわけだが、これはこちらに主眼を置いた続編をあわよくばと思っているのかもしれない。

宇宙を舞台にしたさらなる新版が出るのなら、観たいような、観たくないような…。(2013/3/13 記)

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