音楽レビュー Michael Jackson


Xscape (2014)


(★★★☆☆ 星3つ)

未発表曲を気鋭のアレンジャーが手がけ…という、死没したアーティストの版権を持つレコード会社がよくやる手で出されたアルバム。死んでも働かされるかと思いながら聴いてみた。

ソングライティングの能力も、歌声も不世出の才能であることは確か。その声を聴くとあっという間に彼の世界観に引きずり込まれる。
しかし、アルバムの売りの一つであるはずのアレンジャーによるアレンジが、これでいいのか?と思う出来。もしMichaelが生きていてこれを聴いたら、これにはOKを出さなかったのではないか。Michaelの意匠のようにゴージャスにきらびやかに仕立てるべきところを月並みな音で流していたり、メリハリがなかったり。

恐らく誰がやっても本人が与してオーソライズしなければ、文句の出る出来になってしまったであろうことは想像に難くない。出さなくてもよかったのではないかと思う一方で、彼のファンにとってはこの世に残る夢の欠片は少しでも形にしてほしいという心境もあるだろうし、聴いていて複雑な気持ちがした。(2014/5/24 記)