音楽レビュー Grace Jones


Hurricane Dub (2011)


(★★★★☆ 星4つ)

↓に書いたアルバム”Hurricane”のリミックス(ダブ)アルバム。暗くおどろおどろしい世界で、リミックスアルバムと言っても、ハウスの域などもちろん飛び越えて小宇宙を形成している。昨年(これを書いているのは2012年)チャートを賑わせている脳天気系エレクトロハウスとは正反対のアプローチ。聴きにくく、聴くとどっと疲れるアルバムではあるが、それはGrace Jonesが全力で真っ向勝負を聞き手に挑んでいるからで、聞き手はきっと彼女に支配されるだろう。

聴くと「もういいや、繰り返すまい」と思うのだが、気づくとまたこのアルバムのことを考えていて、やっぱりもう一度聴いてしまう。まるでドラッグのようだ。つまり、人にはお勧めできないが(なので星4つ)、こうしたものは世界に厳然と存在するということだ。

Hurricane (2008)


(★★★★★ 星5つ)

その破壊力あるアプローチからして、適切なアルバムタイトル。音はお洒落といえばお洒落なのだが、もっと深いものがある。精神に食い込んでくるような作り。80年代に持っていた先鋭さを未だ失わず、しかし80年代臭くはなく、今に迎合することもなく、独自で分類不能な音。こういう人が世界に1人はいなければならない、と思わせる。シングルカットの”Corporate Cannibal”はPVもアーティスティックで必見。