付き合い遍歴 一連を振り返って


そんなこんなで、数例を除いては散々な経験をしてきた。各人との間で経験したエピソードはかいつまんで記してあり、印象的な出来事でも、その付き合いを記すにおいて一番重要な趣旨から外れるので敢えて叙述を除いたものもある。
また、これらのエピソードは全て俺から見た一方的な記述だ。相手から見ればフェーズはまったく異なっていて、俺には理不尽と感じられた相手の心理や行動も、相手からするとリーズナブルだったり、逆に相手からすれば俺の行動が突飛で不可解すぎると捉えられていたりといったことも当然あるだろうが、俺からは知れない。

その16の関係を終えてからは、誰とも付き合わず、俺はその頃また転職した。転職先は東証一部上場の所謂大企業で、社内での評価も上々、ポジションも順調に上がって行った。境遇が安定するにつれて精神的にも安定してきたその期間は、エネルギーを蓄える期間であったように思う。

そして2009年の1月、俺は現パートナーと出会い、現在に至る。出会いの詳述は省くが、これは偶然中の偶然だった。
出会いは偶然だったが、そこから関係は着実に育っていった。今は確立されたと言っていい、周囲にも認められ将来を約束し合ったこの安定した関係が、遍歴の最後になることだろう。俺が14も年上なので、順当に行けば俺が先に一生を終えるだろうから。

しかし、過去を記録し終えて振り返るに、何とも無様な遍歴だ。「ゲイの付き合いは短く、相手をころころ変えて安定しない」とよく言われるが、そうした風評を地で行くような自分だったと思う。

遍歴中には仕事や居所の変遷も少し記したが、恋愛に限らず、抗いようもない運命の下、時にはどれを選んでも不正解という状況下で、より害の少ない悪手を選択せざるを得ない場合もあった。そうして辿ってきたこの遍歴が、今の自分のプラスになっているのかどうか、甚だ怪しいが、これらを経験してきて今の自分があることは事実だ。

遍歴に挙げるに足りない、付き合い未満も多々あった。デートの段階で幻滅することもあったが、向こうから「こんなやつは願い下げだ」と思われることもおそらくあっただろう。恋愛とは意のままにならないものだが、そのどれにあっても、結局自自分自身の面倒は自分で見なければ、次に進めず、その先やってはいけない。無茶苦茶な事をしでかしてきた俺だが、混乱しつつも自分の面倒は自分で見るということは、自分に科してきた。

ここで、自分の恋愛に対するスタンスに合う歌を一曲選んで紹介しておく。この曲は、その10の護と付き合っていた時、護が実家に帰るというので関係を一旦解消し、独りになった時によく聴いた曲でもある。

Chanté Moore “Love’s Still Alright”
アルバム”Exposed” (2000)より

一番気に入っている歌詞はブリッジの部分だ。著作権上そのまま貼るのは認められないので、俺なりの訳を置いておく。

愛は無償であるべきなのに
時に泣き寝入りすることもある
でも誰が 自分を大切にする役目を負うのかというと
他ならぬ私 自分の心 私
なんとかしてまた 愛する術を見つけてゆくのだ