スペシャルクラブのキュヴェを初体験。グランメゾンのトップキュヴェは色々試してみたが、様々なレコルタン・マニピュラン(自社畑のぶどうで醸造する造り手)の面白い物でかつ品質が良いのを探すのに、スペシャルクラブは一つの手がかりになると思い、購入。
スペシャルクラブとは、フランス語ではClub Trésors de Champagne(シャンパーニュの宝)と呼ばれる醸造家の集まり。質を追求する造り手が集まったもので、設立は1971年。次第に数は増えていき、現在は29のメゾンが名を連ねる。特にスペシャルクラブと銘打って出す各メゾンのトップキュヴェは、スティルワインを醸した時と瓶詰め後3年の熟成を経てブラインドテイスティングで試されること、ミレジメ(ヴィンテージ)として単一年のものであることなど、いくつかの条件をクリアした後、共通のボトルで出される。
今回はこれ。
Fresnet-Juillet Special Club 2002(フレネ・ジュイエ スペシャル・クラブ2002)は、格付け100%のグラン・クリュ ヴェルジー村に本拠を置くメゾンFresnet-Juilletのトップキュヴェ。Fresnet-Juilletのシャンパーニュは7割がフランス国内で消費され、輸出は3割にすぎないのだとか。カーヴは何と手掘りしたのだそう。
Special Club 2002にはヴェルジーのグラン・クリュのピノ・ノワールが4割、そしてプルミエ・クリュのビスィユ村のシャルドネが6割使われる(注:ピノ・ノワールに関してはマイィも入っているという記述が一部サイトにあったが、公式サイトでは確認できなかった)。
スペシャルクラブの規定では最低3年の熟成だが、これは2002で、既に14年を経ている。ギ・ド・アシェットでは2008と2009年の2連続最高賞を受賞しているとかで、これを達成したのは他にKrugとVeuve ClicquotのLa Grande Dameしかないのだとか。
少し意外というか例外扱いなのか、エチケットをよく見ると、ここの分類はNM(ネゴシアン・マニピュラン)となっている。どうやらこれは相続の関係で、所有する畑が一部親族のものとなっていることからくる分類のようで、実質はRMとのことでスペシャルクラブの要件を満たしている。
開栓してグラスに注ぐ。泡は細やか。2002だが、絶えず湧き出続ける。液体は仄かにピノ・ノワールのオレンジ系のヒントが入った黄金色で美しい。
低めの温度でスタートさせると、清々しい品の良さと輪郭のはっきりした酸が感じられる。柑橘系の中にほんのり蜂蜜の香りがする。セパージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は不明だが、厳しすぎず甘すぎずといったところで、推測するに8~9g/l程度か。
太いボトルがアイスレスのシャンパンクーラーに入らず、氷入りのクーラーに入れた状態だったので、出して温度を上げてみると一気に開花。ヘーゼルナッツや花の香り、黄桃やアプリコットの風味など。しかし品は保ち続けていて、最後まで楽しめる一本。
デゴルジュマン(二次発酵を経て澱抜きのための抜栓)の時期は不明だったが、コルクの新鮮さからして最近なのだろう。状態もよく、スペシャルクラブの最初の体験としては、とても好印象だった。