飲食店レビュー Auberge Au Mirador (フランス料理 オーベルジュ 箱根)

オードブルの2。穴子。三島が近い土地ならではの一品。穴子の下にはトマトジュレが敷かれている。手前は肝の入った日本風のソース。
オードブルの2。穴子。三島が近い土地ならではの一品。穴子の下にはトマトジュレが敷かれている。手前は肝の入った日本風のソース。

(★★★★★ 星5つ)

Auberge Au Mirador(オーベルジュ オー・ミラドー)は、箱根の芦ノ湖近くにあるフランス料理のオーベルジュ。日本のフランス料理の立役者の一人といってもいいシェフ勝又 登が1986年に開いた。日本初のオーベルジュなんだとか。俺の誕生祝いでパートナーが予約して来訪。オーベルジュらしく、泊まりで利用した。

3つの建物から成る施設は、メインのオー・ミラドー、別館で結婚式などに使われるパヴィヨン・ミラドー、そしてアジアテイストのコロニアル・ミラドーがある。ディナーはメインレストランで、朝食はコロニアル・ミラドーで。ここではディナーを紹介。

メインレストランはシンプルでクラシックな雰囲気で、落ち着いている。暖炉のあるメインスペースと、テラスハウスになっているスペースがあり、我々はメインスペースで。地の野菜がひとつの売り物なので、テーブルにはそれぞれ象徴的な野菜がオブジェとして置かれていて面白い。我々のテーブルにはルバーブがあった。コースはメニューとして記されているものが2つ、その他にその日によって違うエクストラコースがある。我々はエクストラコースを選択。エクストラでも決まりきったいわゆるシェフの気まぐれとは少し違って、肉料理も3つの素材から選べるなど、選択の余地はある。

コースを通じてシャンパンを取ることにしたので、最初に飲み物を決めてしまわず、コースを選択してからあらためて肉料理にも対抗できそうなシャンパンにした。ちなみにAlfred Gratien Cuvée Paradis Brut。ワインリストは充実していて、シャンパンも面白いもの・オーセンティックなものなど、バリエーションがある。ソムリエはそつがない感じ。きちんとグラスの減り具合を見ていてくれるので、食事でのお酒はスムーズに飲める。

料理は、軽いアミューズからスタート。アミューズに続いてのオードブルなども比較的あっさりしていて、野菜を期待していた向きには「あれ、こんなもの?」と量的に思うかもしれないが、コースを通じて食べると大人の男性でも十分に満足するだけの量がある。では野菜の質はというと、これも当然ながらちゃんとしている。野菜の味もひとつひとつが濃いし、ロケーションならではの地の物もあしらわれて、地の利を活かした料理が楽しめる。それは野菜以外の素材にしても、いのししの肉とか、放し飼いの鶏の玉子とか、都会にいるのとは違う物があって面白い。

味としては全般にそう冒険している感じではない。かといって退屈なメニューで「どっかで前に食べたよなあ」という感じではなく、地の素材とフレンチがうまく組み合わさった安定した料理といった感じだった。チーズも熟成具合がよかったし、デザートにも手抜かりはなし。接客もあたたかく、安心して料理を楽しめる店。同じようなクオリティーの店はグルメ都市東京にはたくさんあるかもしれないが、わざわざ泊まりに行って、というのは、レクリエーションとして考えればまったく損はない。施設は少し古さを感じさせるところがあるが、どう乗り切るかを期待していたい。(2012/11/21 記)

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