飲食店レビュー 飲食店レビュー hortensia(フランス料理 中央区新富1丁目)(★★★★★ 星5つ)

飲食店レビュー hortensia(フランス料理 中央区新富1丁目)


(★★★★★ 星5つ)

hortensia(オルタンシア)は凝集と旨味をテーマにしたフランス料理を提供する店。料理の基本理念は3つ、即ち1)彩り、2)構成の調和、3)味わいの和み、を根幹とするとのこと。結論から言うと、明快なテーマを見事に料理で体現する素晴らしい店だった。

予約のうえ夏休みの気分転換にと、パートナーとディナーで訪れた。店はミニマルでジャポニズムを感じるモダンな外観のビルの2階にあり、入口は通りから奥に入り、さらに曲がってエレベーターに乗る、ひっそりした隠れ家的アプローチ。店内に入ると大きなカウンターが目に入る。今回は特にカウンター席・テーブル席の別を指定していなかったが、テーブル席は6名用の個室のみ。その個室をパートナーと俺の2名で使う、贅沢な席に通された。

メニューもコンセプト同様明快、ムニュグルマンの1コースのみ。飲み物はペアリングも用意されているが、例によってコースを通じてシャンパーニュで。相談のうえで、Delamotte Blanc de Blancs 2018を選択。繊細ながら香りが奥深く、最近のブラン・ド・ブランによくある傾向のパワフルさは出すぎておらず、コースを通じて楽しめる良い1本だった。

それはそうと肝心の料理だが、まず目に麗しく、可憐であったり、構築的であったり、色のテーマが料理の本質をしっかり伝えるべく取り合わせの意図が明確に伝わってきたり。そして様々な技法を細かく使い分け、料理の一要素一要素が役割をしっかり果たしつつ全体として一皿としてまとまり、そしてその一皿一皿の流れ全体がコースを一つにまとめあげている。店名のオルタンシア=あじさいが、小さな花々が集まって存在感を放つように、料理、そして店の意図を具現化する力量を感じさせる。

コース運びも順調。サーブしてくれた担当は、コミュニケーションもじゅうぶん取れ、普段料理を担当しているとのことで、料理の詳細を尋ねたことに対して満足以上の解を返してくれ、食への興味を満足させてくれる姿勢が好ましかった。時折シェフも料理の仕上げのソースがけなどでテーブルに顔を見せてくれ、文字通り顔の見える料理であることにも好感。

そして、料理は量も満足の行くものだった。今回、鮎を普段は半身で供するところ、ご厚意で1尾丸ごと仕上げていただいたが(我々は食べに行くと、何故かこうしたエクストラのご厚意を享受する事が多い。幸運なことだ)、コースを食べ終えても体の負担が少なく感じられ、客に寄り添うものであったことも素晴らしかった。お土産のバスクチーズケーキを翌日家で食べたが、レストランでの食の喜びをふたたび思い出させてくれる美味。夏休みにとても素晴らしい体験ができた。

(2025/8/16 記)