飲食店レビュー Galerie ASAHINA(フランス料理 六本木ヒルズ)


(★★★★★ 星5つ)

Galerie ASAHINA(ギャラリー アサヒナ)は、評判の高いミシュラン2つ星店ASAHINA Gastronomeのディフュージョン版という位置づけの、ややカジュアルな店。後者は記憶に残るとてもいい店だったので、そのエッセンスが気軽に楽しめる店ということで、急に予定が空くことになった前日夜にディナーを予約して、パートナーと当日、楽しみにして行った。

結果、大正解。カジュアルな店で久しぶりに大当たりを引いた気分だ。しかも「まあこれならいいよね」というのではなく、文句なく素晴らしいと思えるレベルで。

場所は六本木ヒルズのけやき坂。けやき坂通り沿いではなく、ぐるりと建物を回り込んだ奥まった位置づけで、「こんな場所に店があるんだ」と思わせる、ヒルズの喧騒から遮断された位置にある。店はガラス張り、店内はグリーンをテーマカラーとしてソファーが配置され、ラウンジのようなリラックスムード。

メニュー構成はシンプルで、コースは1種類のみ。出迎えからドリンクの提案まで淀みなくスムーズな接客を受け、これはいいかも、という予感がある中スタート。今回は1時間半のシャンパーニュフリーフローをつけた(六本木での食事で4,500円/1名の破格値!)。

「カジュアルダウンした店」という位置づけだが、上質な紙を使ったメニューカードがきちんと用意されているので、後からこうして食事を思い返すのに役立つ。コースはまずスープからスタートし、前菜を複数出す代わりにセイボリーが出てき、魚、肉、デザートという構成。

コースは適切なスピードで供される。空きすぎず、待たせすぎず、ちょっとした会話をしながらラウンジ気分でゆったりフリーフローを楽しみつつ食事ができる。料理の説明もきちんとしていて、さすがにグランメゾンや本家アサヒナガストロノームのような、ガストロノミックなコミュニケーションをフロアー担当とやり取りするようなものではないが、内容理解をされたうえで、暗記したものを吐き出すのではない感じが見てとれ、好印象。

フリーフローの最後も、ちょっとしたご厚意をいただいて時間を過ぎてもサーブしてもらえた。ファインダイニングの店ではちょっとしたエクストラも実は提供を計算済みなのかもしれないが、我々はこうした店に行くと、決められた運び以外のサービスを受けられることがままある。幸運なことだ。

料理は全般に神経が行き届いており、さすがに特別豪華な食材をふんだんに、という訳ではないが、それでも吟味して仕入れたことがうかがわれる上質な物。繊細な細工やグラフィカルな食材のあしらい方に、朝比奈氏らしさが感じられた。セイボリーコレクションでは、ローズマリー、タイム、マジョラムを中央に高く飾った皿の下にドライアイスが仕込まれていて、上から水を注ぐと煙が出るという、「映える」演出などもあり、全てが期待を上回った。さほど気張った感じではないがいい食事をしたい、という時にまた行きたい。

(2025/7/30 記)