癌の放射線治療に伴う味覚障害からの復帰記録 その2


2021/4/8

最終の放射線治療から3週間と1日が経った。相変わらず味を感じず、シリアルと肉うどんと鰻茶漬けを交互に食べ、合間にホエイプロテインを飲む生活をしているのだが、昼間にシリアルを食べていて、ふと、舌の奥で僅かに甘味を感じるような気がした。

所謂味覚地図では、舌の奥は苦味、ということになっているが、味覚を失っていく過程でも、あの地図は自分の感覚とは異なっている気がした。そこで調べてみると、どうやら味覚地図は存在しないというのが近年の話のようだ。ここでは個々の記事にはリンクしないが、検索してみるといくらでも出てくる。これは自分の感覚としてもしっくりくる。

それはそうと、ずっと味を感じられていないと、これが未来永劫続くのではないかという不安が頭をもたげてくるが、この舌の奥の感覚は、少し希望の持てるものだ。

2021/4/21

5週間が経過。食べられる物が限られているなか、鰻茶漬けは心強い味方と前に書いたが、一週間ほど前、食べていてふと、舌の左端でタレの甘味を感じる気がして(『気がする』程度の感じで、まだ心もとない)、少しずつ味覚が戻ってくるのではないかと期待。数日前には鰻丼で食べてみたら、茶漬けでなくとも食べられた。

食べたのは乾燥グァバ葉を配合した餌で育てられたという鰻。脂が乗っているが脂ぎれがよく、ふっくらとしていた。
食べたのは乾燥グァバ葉を配合した餌で育てられたという鰻。脂が乗っているが脂ぎれがよく、ふっくらとしていた。

甘みを感じられるのであれば、と、アイスクリームにチャレンジしてみたら、こちらは失敗。今、口に何も入っていない時、砂糖醤油を薄めたような妙な味がデフォルトでしているのだが、それが薄まって広がったような感じで、心地よくなかった。しかし、食べようとした物の味は満足に感じられず、逆に何も食べていない時に味(のような不快な感覚)を感じ続けているのは、なんともアンビバレントな感じだ。食べ物の味を感じないことより、むしろ食べていない時の時間の方が圧倒的に長いのだから、そこに感覚があり続ける方の不快の方が大きい。

今日の昼間、豆腐を食べた。すると、大豆っぽいなと感じられ、甘味以外にも味覚が出てきている模様。塩味も少しする。塩味はありがたい。それが感じられると、食事の幅が広がるだろうと期待できるからだ。しかし、いずれの感覚もまだぼんやりとしていて、しかも舌の一部に限られている。今、先述の舌の奥と、左端から復帰してきているのだが、不具合があることには、左は、抗がん剤と放射線治療にあたって、下の左奥の臼歯を1本抜いていて、そちらで噛めないので、味を感じる側で噛めないと、当然味わいにくいということがある。もう少し面積的に広がってこないと、味わえるとは言えない。これも気長に待つほかないだろう。

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