ジャガーXE 20d プレステージ 2ヶ月乗ってみての印象


総評

ジャガーXEはよく走るし、素直で、運転して楽しい。しかし、その楽しさを快適性とともにストレスなく享受するためには、グレードやオプション、そして年式が重要。そうした、楽しさと裏腹の選ぶ難しさが、ジャガーのひとつの特徴だろう。

そして、精緻さと先端を競い階層分けの中でひしめき合うドイツ車勢とは異なる、超然とした静謐が、心を穏やかにさせてくれる。無論、現代ではジャガーとてクラス別に車を用意していて、セダンではこのXE、そしてXF、XJとセグメント別にラインナップを用意してはいるのだが、街なかで同じ車に出会うことはそうなく(都内でさえそうなのだから、日本国内で均すともっと少ないのだろう。販売業績は、SUV系が後押しして前年比2桁アップと好調なようだが)、趣味人として、車の選択にも自分のスタイルを反映させたい人にとってジャガーは、好適。

名車の評判を確立したメーカーには、それぞれの特徴があって、ジャガーにもまた、他にない世界観がある。ジャガーは心を高揚させる。と同時に、優雅でゆったりした気持ちにもさせる。この、高揚感とゆったりした気持ちとの同居は、質のいいシャンパーニュを思わせる。車にスタイルを求めずただ生活の延長がタイヤを履いたような日本車勢とは違う「仕立て」を感じることができる。それはイギリス車のヘリテージで、一朝一夕には得られないものだ。リラックスしていて洒脱で気楽なDSから乗り換えると、それを顕著に感じる。

そのヘリテージゆえ、ジャガーは乗る人を選ぶだろう。誰にでもしっくりくる車ではない。ジャガーを手懐けるには、ある種の資質が乗る人に必要だ。その資質とは、知性であるかもしれないし、品格であるかもしれないが、自分で選んだ物ゆえに、ここでは明言を避ける。が、ひとつ言うとするならば、何故「(信頼の置ける道具としてはドイツ御三家やレクサスを選んでおけば失敗のないところを敢えて)ジャガーを選んだのか?」と問われた際に、自分なりの視点を持って説得力のある答えを用意しておける位の度量は要る、ということだ。

 

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