ジャガーXE 20d プレステージ 2ヶ月乗ってみての印象


室内を見渡して Pt.2 スペース

ダッシュボード上部がぐるりと円形に展開され、エアコンの吹出口がドアトリムにかかる幅にまで伸びているのは、広さよりも囲まれ感に繋がる。その結果、ドアトリムがドアシルよりも上にあるという珍しいデザインになっている。左右の端のエアコンの吹出口は、こんなに下で大丈夫か?と思うかもしれないが、大丈夫。かえって、手が汗ばんだ時などのハンドクーラーとしても有効。Aピラーにも小さな吹出口があるが、これはドアミラー付近の曇り止め。

運転席横のエアコン吹出し口とAピラーのスリット。
運転席横のエアコン吹出し口とAピラーのスリット。

エアコンといえば、「ヨーロッパ車は冷房の効きが弱い」というのは、昔の話。DS4では効かせようと思うと温度設定を下げねばならず、また、風が出ている割に冷えないということもあった。また、風量の割にブロワーの音も時に気になったものだが、XEではそれらの不満はまったくない。センサーはきめ細かく風量と吹出口を制御するので、エアコン設定をしょっちゅう変えなくても快適。エアクオリティーセンサーは設定で感度を変えて、自動で内気循環に切り替わるタイミングを設定できる。内気循環はタイマー式。

各所報じられない年次改良が施されているのはヨーロッパ車の常で、XEも例外ではない。内装ではフロントのカップホルダーがシャッター付きになるなど、細かく変更されている。バーチャルコックピットや音声認識システム等も搭載されている。ジャガーはここら辺をもっとアピールすれば「おもてなし」好きの日本人にももっと受け入れられると思うのだが、敢えて言わないのは、スーツのライニングに本人だけが分かる色や柄を入れて楽しむような、イギリスの奥ゆかしさか。(笑)

センターコンソール。車内でしょっちゅう飲み物を飲むわけではないので、カップホルダー部は普段小物入れに使用。
センターコンソール。車内でしょっちゅう飲み物を飲むわけではないので、カップホルダー部は普段小物入れに使用。

収納スペース

収納スペースは少なめ。上記のカップホルダーの後部にあるセンターコンソールボックス内には、12V電源ソケット、HDMIポート、USBポート×2がある。が、肘掛けとなる蓋部分が大きい割に中が狭く、インフォテインメントシステムのInControlTouch Proを使うためにUSBで手持ちのiPhone 8 Plusを接続すると、斜めに入れる必要があり、それでこのスペースはほぼいっぱい。サングラスなどの大きめの物はここには入らない。ドアポケットかオーバーヘッドコンソールボックスを使うことになる。

XEのセンターコンソールボックスは小さい。
XEのセンターコンソールボックスは小さい。
ドアポケット。やや厚みのある二つ折り長財布を入れたところ。フロントドアのポケット底部には滑り止めのフェルトが貼られている(写真の黒い部分)。
ドアポケット。やや厚みのある二つ折り長財布を入れたところ。フロントドアのポケット底部には滑り止めのフェルトが貼られている(写真の黒い部分)。
サングラスはオーバーヘッドコンソールに。開閉はソフトダンパー付き。
サングラスはオーバーヘッドコンソールに。開閉はソフトダンパー付き。

グローブボックスも容量は小さめ。ETC本体は人によってつける箇所が違うかもしれないが、ここにつけてある。非常用トーチもここにあり、容量は大きくない。ETCに挟まれた空間に分厚い車のマニュアルを入れるのがギリギリ。

マニュアルを入れるとスペースはほぼいっぱい。
マニュアルを入れるとスペースはほぼいっぱい。
マニュアル等。厚みは4cmほど。
マニュアル等。厚みは4cmほど。

トランクスルーは6:4の分割式。たしかジャガーのサルーンでは初採用。フラットにはならず、トランクの方がシート部よりも一段高い。普通トランクスルーがフラットにならない車では、後部座席の背もたれ部分が一段高く段差がついている形だと思うが、XEの場合は逆。トランクから荷物を入れて押し込んでも段差でつっかえないので、荷物が多い時にはフルフラットでなくても使い勝手としては大丈夫だろう。そもそも、XEで荷物を目一杯積む使い方をする人はまずいないだろうが。

後部座席を倒してトランク側から見たところ。
後部座席を倒してトランク側から見たところ。
後部座席側からトランクを見たところ。
後部座席側からトランクを見たところ。

シート

シートはそう沈み込まない固めのもの。まだ革が馴染んでいないからかもしれない。レザーシートが滑るという評もどこかで見かけたが、俺の身体ではそんなことはなく、しっかりサポートしてくれる。
シートデザインはごく普通。このオイスターグレーのカラーのレザーだと、ピスタチオという淡いグリーンのステッチが入るが、コントラストカラーとしてはあまり目立たず。

目立たないステッチカラーだが、車内が煩雑にならないという利点もある。
目立たないステッチカラーだが、車内が煩雑にならないという利点もある。

シート調節量は十分。もちろんシートメモリーがあるが、やはり体調などによっても違うため、ランバーサポートは動かすことが割とある。電動ランバーサポートは十分な変化量を得るためには、長くスイッチを押す必要がある。

リアスペースだが、サイドのグラスハウスが天井に向かって絞り込まれ、後部へなだらかに下がるデザインなので、広くはない。これはイランカラム曰く、意図的にタイトなデザインをしたとのこと。うちの場合、後部座席には犬しか乗らないので、全く問題なし。犬をクレートに入れてそれをここに積み込めればそれでいいのだ。
後部座席に人間が座ると、着座姿勢はきっちり目。車高が低い割にはヘッドルームは意外にある。着座位置は何故かフロントシートよりも微妙に中央寄り。視線を逃がすためなのかもしれないが、前後共に大柄な人が乗ると、後部座席の人の膝は前席後部の張り出しに近づくことになる。

運転席後ろに座ったところ。膝の延長が運転席より左寄りになっているのが分かると思う。
運転席後ろに座ったところ。膝の延長が運転席より左寄りになっているのが分かると思う。

リアシートは法律上3名乗車になっているが、真ん中は乗車に向いていない。フロントのセンターコンソールが近づいていて、かつセンタートンネルが高くて四角く張り出しているからだ。実質2名乗車を想定しているからか、中央座席用のシートベルトはリリーサーで分割して収納できる。センターコンソール後部にはエアコン吹出口があって、左右の足元にはヒーター用吹出口とフットランプも装備されているが、全体にはシンプルな印象。

後席足元。
後席足元。

照明

外装照明

ウェルカム/リービングライトは当然。ヘッドライト(またはポジショニングライト)、ドアミラー下、テールポジショニングライトが点く。

ドアミラー下のウェルカム/リービングライト。なぜかここだけ電球色。
ドアミラー下のウェルカム/リービングライト。なぜかここだけ電球色。

室内照明

フロントのオーバーヘッドコンソールにあるライトはドアの開閉に連動する他、任意で点けたい時にはライトに触れると点くタッチ式になっている。ルーフ中央のルームライトはドアの開閉に連動するライトの他、スイッチ式のライトが左右分1つずつ計2つある。
フットライトは夜間に常灯、ただし走行中は照度が落とされる。また、スカッフプレート部のライトも(スカッフプレート自体はドアが閉まっていると当然見えないが)常灯。

アンビエントライト

アンビエントライトは、各ドアに3箇所(ドアオープナー、ドアシル下部、ポケット)、ダッシュボード左右のエアコン吹出口上部、シフトを囲むパネルの周りに仕込まれている。最近の車のALはやり過ぎの車が多く、下品かつ走行中明るすぎるのもあるが、XEのALは設定で明るさを変えられ、走行中は色が何となく判別できる程度にまで照度を抑えることができるので、走行に集中できる(望めば設定で全照にすることもできるが)。走行中照度を抑えていても、乗降時には全照になる。走行を終えシフトポジションをPにしてエンジンを切ると室内照明が点くが、ALはそこではまだ点灯しない。ドアを開けて初めて全照になる。

ALは10色に変えられる(オプション)。ALで制御されない夜間室内で目につくのは、エアコンパネルとロータリーシフトのブルー。ここは変えられないので(ロータリーシフトのあるパネル周りはALが仕込まれていて変えられる)、コンビネーションを考えると、自ずと選ぶべき色は限られてくる。

エアコンパネルの夜間照明。青なのは、ドイツ車が赤や朱赤が多いことへの対抗か。
エアコンパネルの夜間照明。青なのは、ドイツ車が赤や朱赤が多いことへの対抗か。
ロータリーシフト周りは青で固定、シフトパネル周りは設定で変更可能。
ロータリーシフト周りは青で固定、シフトパネル周りは設定で変更可能。

走りについては次ページで。

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