ジャガーXE 20d プレステージ 2ヶ月乗ってみての印象


グレードや年式、オプションによる違い

ところで、この車に乗って1ヶ月足らずで代車に乗る機会に遭遇した。ある日、半ドアでルームランプが点きっぱなしになった結果バッテリーがあがるという古典的な出来事があって、ジャガーアシスタンスコールを使ってレスキューを呼んだのだが(予期せずリモートアプリのコール機能を使うことになった)、その際、通電時に電動トランクオープナーが立体駐車場の中で作動し、トランクの中央部が天井にあたって微細な塗装剥げが出来、預けて修繕することになった、という経緯だ。これが、乗ると違うものだなあと実感させられた。

代車のXEは、インパネ周りのデザインから見るに、3、4年前のモデル。グレードはSEでスタンダードグレードのピュアの上、プレステージの下。ほぼオプションなしのモデルだ。そしてガソリンエンジンだったが、年式からすると、エンジンはインジニウムではなく、フォードのエコブーストで、最高出力200ps・最大トルク32.6kgmの2000cc。色はソリッドのフジ・ホワイト。

代車のXE。
代車のXE。

メーターは両サイドにアナログ、中央にデジタルディスプレイ。バーチャルコックピットに慣れていると、メーターデザインがシンプルすぎることもあって、昔の車の感じがする。

アナログメーターは簡素な印象。
アナログメーターは簡素な印象。

そして、下のグレードなので仕方がないにせよ、各所高級感がなく感じられた。外装のソリッドカラーのフジホワイトは平板で退屈な印象。
内装だが、黒だと、プラスティック部分がいかにもプラスティック然として見える。そしてふと運転席から助手席側を見やると、ドア後端とBピラーの間の隙間が広くて、外装の白が見える。昔のプジョー205のようだ。

ドアパネルとBピラーの間の隙間。
ドアパネルとBピラーの間の隙間。

ファブリックシートは感触がザラザラで、心地よくない。ドア内張りもシートと同じファブリックになるのだが、引き手に手をかけると、トリムのクッションの厚みがなく、いかにも安っぽい感じがする。

ステアリングはスポーツタイプでない細身の物で、ソフトグレインでない普通のレザー。経年によるテカりが一部に出てきていたこともあるが、ペタペタしていて細身で、見た目も感触も、いいと思えなかった。

ストレージも各所異なっている。オーバーヘッドコンソールのサングラスを格納するボックスがない、センターコンソールのカップホルダーが蓋無しでむき出し。グローブボックスを開けると、そこに格納されているトーチの形状が違って大きく、スペースを損なっていた。

DVDナビの画面は、解像度が低いので、2000年代の車のようだ。XEのデビュー当時、二昔前と批判された箇所。モニター周りにメニューボタンがあって、このボタンの感触やデザインがまた昔な感じ。

インフォテインメントシステムのディスプレイ。アスペクト比が4:3なのも、古さを感じさせる一因。
インフォテインメントシステムのディスプレイ。アスペクト比が4:3なのも、古さを感じさせる一因。

ガソリンエンジンはよく回るし、基本的な足回りやハンドリングは素直で、その点ではいい。標準の17インチホイールは、街なかでは最適だし、始動時の咆哮はスポーツサルーンらしい演出。ただ、アイドリング時の振動は高級感を欠くのと、十分軽快には走るのだが、インジニウムディーゼルのトルクを味わってしまうと、物足りなく感じられてしまう。

総じて言うとこの車は凡庸で、もし数年前にこのグレードに試乗していたら、ガッカリしてジャガーは選ばなかったのではないか。そして、これに乗ったことで、品質の詰めが甘いと評された理由が分かるとともに、修繕を終えて戻ってきた自車を見直した。ちなみに修理だが、長さ7、8ミリの微細な塗装剥げで、コンパウンドで磨いてタッチアップかと思いきや、なんとトランク全塗装。特別色なので、タッチアップのみでの対処は難しかったのかもしれない。そして、それに伴いエンブレムも新品交換された。不慮の事故なので、費用はジャガー持ち。

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