義兄として結婚式に出る


じょにおの弟が過日結婚し、式にじょにおと共に出席してきた。フィアンセは今年の正月にはじょにお実家の集まりに来ていて、顔合わせ済み。朗らかで気の利く、とても感じのいい女性で、誰からも好かれるタイプ。じょにおの弟は、末っ子らしくいかにも愛されて育った屈託のない性格。お似合いの2人だが、結婚に至るまでには長年の紆余曲折があったらしい。

俺が結婚式に出ることについて、じょにおがじょにおの実家に対してどういうアプローチをしたのかは知らない。ともかく、俺の知れない気遣いがあったのだろうけれども、少なくとも俺に対してはじょにおも出るのが当然という姿勢だったし、じょにおの父母もそうした自然な姿勢でいてくれた。

当日、親族として出席する訳だが、チャペルに入っての親族紹介は、新郎父(じょにお父)から、じょにおが紹介された後、「パートナーの」として俺を紹介してもらった。日本ではゲイのカップルに対してこうした受け入れ方をするケースはまだまだレアだと思う。

新婦の母からベールをかけられる新婦。
新婦の母からベールをかけられる新婦。

式の後の披露宴では、俺はじょにおと共にテーブルにつき、その席次表には「義兄」と書かれてあった。当日、特に俺の存在について奇異な感じを抱いた親族もいたのかもしれないが、少なくとも俺にもじょにおの家族にも、そうしたことが問題になることは全くなかった。

とはいえ、親族にとって知らない男がそこにいてただ飲み食いしているというのは不思議な光景だろうから、当日はカメラマン役として、忙しく写真を撮って回る役目を務めておいた。他の人達はなかなか始終写真を撮るわけにもいかないだろうから。

披露宴が終わり、じょにおの母、兄(じょにおは3人兄弟の次男で、上に兄がいる)、兄嫁、その子供3人、叔母、叔母の息子、じょにおのいとこ2人、それに俺というメンバーで、カジュアルな食事会をした。じょにおのいとこ達とは初顔合わせだが、じょにおが「パートナーのJOE」と紹介し、「あ、どうも!」とさらっとした受け入れられ方。食事をしながら、「我々も結婚式しなきゃね」などとじょにおと言ったり、終始和やかに過ごした。

当日の新郎新婦とその父母達に次いで、家族という関係性が築かれることについて、しみじみとした感慨と晴れやかな気持ちを持った親族がいたとしたら、それはじょにおと俺だろう。じょにおの弟を祝福するのはもちろんだが、こうした形で出てよかったと思えた式は、とても思い出に残った。