シトロエンDS4 半月経過の印象と夜の姿


シトロエンDS4にも徐々に慣れてきたのでインプレッションをば。スタイルには相変わらず惚れ込んでいるが、車に乗っていると自分の外観は見えない(笑)! 自分が運転している車を見てみたいと思う。まあそれはさておき、運転感覚や使い勝手のほどを。長いし若干マニアックなので、車に興味のある人向け。文章が長々続くと飽きるだろうから、途中途中で夜撮ってきた写真を挟む。

試乗の時に感じたセミAT(EGS)のギアアップ時の空走感にはほどなく慣れた。というか、そもそもトルコンATのように常時駆動力が伝達されているのではないのがEGSであるという、当たり前の機構の原則を頭に置いておけば、あとはギアチェンジのタイミングに合わせてうまくアクセル操作すればいいのだ。つまり、ギアチェンジの時には踏んでも出ないという当たり前のことを意識しておくこと。

夜のDS4
夜のDS4

上記はEGSというメカニズムからくるアクセルのタイミングの問題。あとはギア比やギアチェンジのプログラムといったこの車独自の癖を把握してのアクセルの踏み込み加減がミソ。オートマチックモードで自分でギアチェンジしない場合、DS4のギアは1速でさほど粘らず、2速に渡してぐぐっと引っ張って、そこから上3速4速はさくさく、5速ODは自動では概ね60km/h以上で入り、それより高速になると6速ODの出番があるという感じ。なので、普段の市街地走行では、出だしにちょっと踏み込み目にしたらすぐ来る2速へのギアアップの時(というか厳密に言うと直後)に少しアクセルを抜いてあらためて踏み込んでやると、すーっと出る。1速→2速のギアアップ時には少しモタっとした感じがしなくもないのだが、急加速が必要であればそこから踏んでやれば、エンジンは低回転からトルクを発生させるので、気持よく加速できる。

夜のDS4
夜のDS4

ちなみにステアリングのパドルシフトは、Aに入っている時も有効。なので、2速でそんなにカバーしなくてもと思えば、+パドルで3速へ、いつまでも4速だなと思えば、+パドルをパディングすれば5速へ渡せる。そういったことで燃費に配慮した運転ができる。(逆ももちろん可)おそらく、2速のカバーレンジが広いとか、市街地で5速に入る機会が少ないというのは、普段の走行でキビキビ走らせるようにしてあるのだろう。

夜のDS4
夜のDS4

そして自分でギア選択するマニュアルモード。安楽に走る方が好みなので、実はマニュアルモードはほとんど試していないのだが、上り坂のワインディングロードに行けばパドルで操った方がより俊敏に、またギアチェンジのタイミングを気にすることなく操作できていいのだろう。坂といえば、下りについて。ワイドな2速のせいか、エンジンブレーキは強力。商業ビルなどで急に下る駐車場のらせんなどでは、ヒルディセントコントロールがついているのかと思うほど。

夜のDS4
夜のDS4

次に、ブレーキについて。試乗の時の「グッ→カクッ」という食いつくようなカックンブレーキには「これかぁ…」と妥協を強いられるような思いだったが、納車された個体についてはややマイルドになっていて、よく効くことは効くがカックンブレーキというほどではなく、ほっとした。DS4は日本デビューして今月で約1年。こういうところは個体差というより、実はシトロエンがレビューやレポートなどをロットが上がったモデルに反映させて、地味な改良をしているのではないかと思う。

足回りについて。総体的に感じるのはしっとり感。街で乗っていて快適。ある程度路面情報はフィードバックされるが、過剰にカツカツ来る訳ではない。しっとりしてはいるが、柔らかすぎず、カーブでは結構粘る。国産高級車のような、柔らかいとカーブでもブワーッと膨れて傾く感覚はない。そのあたりはカッチリしたボディの恩恵でもあるだろうし、全長の割には横幅がでかいというのがあるかもしれない。

夜のDS4
夜のDS4

室内に不満はほとんどない。静粛性は割に高くて、速度が上がってもオーディオのボリュームをことさら上げる必要もない。ただそれだけに、エアコンの送風音は、時に気になるといえば気になる。エアコンはオートモードでも何故か風量を3段階に切り替えることができて(それじゃオートじゃないじゃないか、と最初は思った 笑)、普段は真ん中にしてあるが、最小だと冷房時はちょっと弱い。それから、内気循環にしてある場合にマニュアルで風量を上げると「ゴーーー」っとすごい音がするが、音の割には風量は弱い気がする。

夜のDS4
夜のDS4

シートは秀逸。そのへんは評判通り。硬すぎず柔らかすぎず、ピタっと収まる。セミバケット状で腰をちゃんと支えてくれるが、タイトすぎることもない。座面長がしっかりあるので、脚が浮くこともない。体に何も不快を感じないことでもって体の健康を感じるように、シートがいいというのはシートを感じないことであるのかもしれない。シートがいいのは車の室内における最大の美点だと思う。それから、まだ東京は暑いので、張り地はフルレザーよりもファブリックとレザーの標準仕様の方が蒸れなくて、後者にしておいてよかったと思う。DS4のレザーシートはパーフォレーテッドだが、それでも通気性は布の方がいいはずなので。

夜のDS4
夜のDS4

が、ひとつ取り回しの時にシートで「ん?」と思ったことがある。側面衝突時のセーフティーゾーンを稼ぐ意図でか、ドアの内張りからさらに内側にセットバックされてシートが設置されている。なので、駐車場でチケットを取ろうとすると、車を結構寄せたつもりなのに、発券機から遠いということがある。そのセットバックのせいか、室内は1815mmもある車幅の割には広大というよりは適切な広さという感じ。むろん隣とくっついているような感じはしないが。

夜のDS4
夜のDS4

オーディオはパイオニア製のOEMバージョンで、USBやライン入力には対応しているが、Bluetooth接続機能は省かれている。音質は標準装備にしてはまずまず、mp3/AACの圧縮時に失われた帯域を補完するプロセッサが内蔵されているとかで、ナチュラルな感じ。iPhone / iPod接続にも対応しているが、オーディオユニットにあるUSBジャックからケーブルが出るのが嫌なので、普段はUSBの中にmicroSDを仕込んで挿せるUSBアダプタをUSBジャックに挿してオーディオを使用している。
仕込んであるmicroSDは32GBだが、問題なく認識するので車に持ち込むには容量的には十分。しかし、認識できるフォルダ数に制限があって、500までしか認識しない仕様とか。なので、メモリに音楽を収録する場合、多く持ち込みたければシングルをシングル名のフォルダごとに分けずに同一のフォルダに入れておくなどの工夫は必要。

夜のDS4
夜のDS4

ナビは富士通のポータブルナビを埋め込んであって、ナビ機能で特に面倒とか見にくいということはないが、時計の表示が小さい。DS4の室内には時計がないので、ふと時間が知りたい時にはナビの時刻表示がもう少し大きい方がいい。それから、固定してあるが元はポータブルなので、ルート案内を始める前に自動車か徒歩か聞かれる。その辺はカスタマイズして1アクション省き、すぐにルート案内にしてくれたらいいのに、と思う。

夜のDS4
夜のDS4
夜のDS4
夜のDS4

まあ、いろいろ書いたが、全てが自分の欲求を満たす物などないなか、シトロエンDS4はとても近いところにいて、レベルの高い車だと思う。秋のドライブ日和に遠出する日が待ち遠しい。

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