台湾プライド2016参加&台北旅行記 4日目+総括


最終日の予定といえば、昼過ぎの便で帰るばかり。やはり3泊4日は短い。慣れた頃にもう帰ることになってしまう。

朝、最後の台北市内

とりあえず名残を惜しんで、ホテルから少し歩いて散策する。台湾のコーヒー店で軽い朝食を摂る。

Mr. Brown Coffee
Mr. Brown Coffee

スターバックス形式の何ということはないコーヒー店なのだが、サンドイッチはきちんとしていておいしかった。値段も日本で同種の物を頼むよりリーズナブル。ここのアイスコーヒーはやや薄めで、飲みやすいタイプ。

ぶらぶら一回りし、ホテルに戻ってコンセルジュに送迎サービスを依頼する。タクシーでももちろん行けるのだろうが、台北のタクシーは英語が不得手なドライバーが大半。じょにおは旅行先での移動をできるだけスムーズにストレスなく行うのを希望する。それに、やはりリージェントならばサービスも上質だろうと踏んで。

コンセルジュに英語で話しかけたら、じょにおが「日本の人だよ」と言ってあらためて見るに、胸のバッジには日本人の名前と日本国旗が。日本人だった。日本語に切り替え、便名を告げて、当日でしかも数時間後だが可能かと尋ねると、空きのリムジン(ストレッチリムジンではなく、メルセデスのSかBMWの7)を手配してくれるという。料金は部屋づけにしてもらって依頼。

チェックアウトし、ベルボーイに荷物を預けてロビーで5、6分ほど待機。ここを見るのも最終日かと思うと、わずか3泊で名残惜しい。

リージェント台北のロビーはこんな具合。シンプリシティが新しい感覚のラグジュアリーさを演出していて、趣味がいい。
リージェント台北のロビーはこんな具合。シンプリシティが新しい感覚のラグジュアリーさを演出していて、趣味がいい。

空港へ向かう車

ベルボーイに案内されて車に乗り込む。来た車は新型の740iだった。車好きとしては興味深い。普通、車を手配するだけならコンセルジュの見送りはないだろうが、依頼したコンセルジュは丁寧な人で、車中で飲むミネラルウォーターを届けてくれた人と共に見送りをしてくれた。ベルボーイは台北には珍しく、南アジア系の人。英語の発音がきれいで、スムーズなサービス、笑顔が素晴らしく、この人も見送ってくれた。こういう最後だと、またこのホテルに泊まりたいなと思う。さすがのホテルだった。

やはりショーファーは白手袋。ちゃんと温度が快適かどうかも聞いてくれる。
やはりショーファーは白手袋。ちゃんと温度が快適かどうかも聞いてくれる。

さて、新型の740iだが、フルモデルチェンジしたばかりだけあって、行き届いた印象。乗り心地はサスセッティングの選択にもよるのだろうが、適度に路上の情報を伝えてきて、そこはドライバーオリエンテッドなBMWらしい。しかし後席に座る人員として不快なレベルではないし、やはり静かさはトップレンジならでは。

iLモデルでなくても、脚を組んで余裕がある。
iLモデルでなくても、脚を組んで余裕がある。

写真のセンターコンソール以外に、Bピラーにも後席エアコンの吹き出し口があるのが、ショーファードリブンを想定しているのだなと思わせた。しかしセンタートンネルは巨大で高さがあった。四角くて上面は平らだし、実質後席2名乗車を想定しているから問題がないのだろうが。

後席サイドウインドウ用電動ブラインドは、オペラウィンドウ部分のも連携で、芸が細かい。もちろんリアウィンドウにもついている。ドリンクホルダーはもちろんダンパー付き。レザーシートはパーフォレーテッドではなかったが、もちろん乗車時に車内は適温に設定されているので問題なし。

快適。あ、手元のNew York Times?  も、もちろんちゃんと読みましたよ…。
快適。あ、手元のNew York Times?  も、もちろんちゃんと読みましたよ…。

あらためてこの写真を見ると、初日のハイヤー乗車時より明らかに表情がリラックスしている。確かに、楽しくて満足な旅だった。それに、車ファンの視点からすると、この車に乗る機会は興味深くて、後席ヘッドレストの電動調節を無駄に動かしてみるなど、面白かった。

しかしここで車に全く興味のない隣のじょにおを見ると…

もう帰るのかとしょんぼり。
もう帰るのかとしょんぼり。

小一時間で渋滞もなく桃園空港に到着。手荷物を預け、免税で買うべき物もなく、ほどなく搭乗。

帰りの飛行機にはドラえもんが。正直、飛行機にもドラえもんにも興味がないけれども、記録として。
帰りの飛行機にはドラえもんが。正直、飛行機にもドラえもんにも興味がないけれども、記録として。

成田に帰ってくると、寒い。ジャケットの中にもう一枚着て、自宅を目指す。東京はもう秋。気楽に短パンでフラフラできる気温ではないのだ。

今回の旅行で訪れた場所、チェックした場所の一覧は下記の地図にて。

旅行中の犬達

さて、我が家の愛犬プットニョスとノアノアだが、旅行中はいつもお願いするように、毎度おなじみトレーナーのWANLOVEさんにお預かりいただいた。旅行中、こちらも滞在を楽しんだようだ。

散歩も充分にしてくれ、室内では自由にしてもらって他の犬達とも触れ合えて、ベストなお預かり環境。
散歩も充分にしてくれ、室内では自由にしてもらって他の犬達とも触れ合えて、ベストなお預かり環境。

WANLOVEさんなしには犬を置いての旅行など不可能。本当にいつもありがたい。

総括的印象

台湾のLGBT vs 日本

今回は兎にも角にもプライド参加がメインだったのだが、台湾のゲイ達はエネルギーに満ちている。プライドに参加していた人達は、学生と思しき若い年代が大半。40代の俺としては、30代後半から上はどうしているのだろうとは思ったものの、思うことを若い世代がきちんと意思表明するために集うのは、社会を動かしていく原動力になると思う。

聞けば、今回のプライドは、直前に外国人と台湾人のゲイカップルがパートナーシップを法的に認められず、台湾人ゲイが病気で死亡し、苦悩の末外国人ゲイが自殺してしまったという痛ましい事件を背景に、運動は隆盛を見たのだという。同時に、蔡 英文(ツァイ・インウェン)総統は、同性婚への支持を表明し、この年末にもアジア圏初の同性婚法案が提出されそうな勢いだ。台湾LGBTは、抑圧・無理解や悲劇を経て、あるべき方向へ自分たち自身を正しく導いているように思える。

台湾プライドで主張する台湾LGBTの人々。
台湾プライドで主張する台湾LGBTの人々。

対して、日本のLGBT社会の傾向を見るに、企業との結びつきが先行しすぎていて、社会の役に立ちます、だから存在価値を認めて下さい、とでも捉えられないビジビリティや存在価値認識の倒錯傾向が見え隠れしてきていて、そのことに違和感を抱く。ともすると、経済力や企業からのお墨付きがあってそれが自分達の認知の主導にでもなっているかのようだ。人がそのまま人でいていいのだというストレートな主張が、いつの間にか経済やブームに絡め取られていきそうで、もう一度自分達が主張することは何なのか、再考してほしい。

社会的視点からではなく、ゲイコミュニティー一般を見ての感想。数年前には日本人のゲイは台湾ではモテる、なんて話を聞いたが、もうそうした日本人ゲイ=プレミアという時代はとうに終わりを告げている。日本からブームで大挙して訪れていた日本人ゲイを見て、台湾人は日本人ゲイの実態を理解し、さほどプレミアではないと理解したのだろうか。彼らは彼らで存在意義を見つけ、そして他のアジア各国の人々と対等に楽しんでいる。

台北の町並みと人々

台北の町並みを見て感じたこと。台北市内は早くに開発し尽くされていて、年数の経った建物が多いせいか、超高級エリアとそうでもない所の風景が、東京を含めた他の都市ほどの差がなく思えた。よく見ると、集まっている店舗の違いはあるのだが。

そんな町並みで驚いたのは、高級エリアでなくても、タバコの吸い殻を含め、ゴミがとても少ないこと。東京の方が汚い位だ。台北は公衆意識が高いのだろう。治安も良さそうだった。移動に地下鉄を多用したが、地下鉄もきれいで、女性が夜に1人で乗っていても全く安心なようだ。

得てして人々は慎み深い。地下鉄も順番を待って乗るし、店では言葉が通じなくても親切。交差点では信号を守り、まるで傍若無人に振る舞うのがカッコイイと勘違いしているような若者や暴走老人も、台北ではほとんど見かけなかった。

台北の街の様子から見た経済

物価が正常で、人が都市生活を送っていける水準としてまともだな、というのが、クレイジーな東京に住んでいる俺から見た第一印象。数百台湾ドル(1台湾ドル約3円)できれいな店で結構な量の食事はできるし、屋台や買い食いはもっと安く、それももちろん衛生状態含めてまともな食べ物。地下鉄の初乗り料金は20台湾ドル。タクシーも安い。真面目に働けばきちんと食っていける社会であるように感じる。ホームレスも非常に少なかった。

台北市内では、庶民の足としてスクーターが多数走っている一方、高級車も結構な頻度で見かけた。メルセデス(CやS 何故かEはあまりいなかった)、BMW(5やXシリースが多い)、アウディ(A3、A4、A6、A8)、マセラティ・ギブリ、ポルシェ・カイエンなど。ランボルギーニウラカンまでいた。先述のとおり、市内は土地的に開発し尽くされているので、家よりも車に金をかけるのかもしれない。
いずれにせよ、庶民が生きているだけでなく、リッチ層の消費意欲も旺盛な印象。リージェント台北も、結婚式、宴会、お茶、食事など、連日地元客で賑わいを見せていた。

リージェント台北は客で賑わい、車寄せには常に高級車がたくさんだった。
リージェント台北は客で賑わい、車寄せには常に高級車がたくさんだった。

また行きたい台湾

こうしたある意味「きれいな」旅行では、上澄みしか分かっていないのだろうが、わずか3泊4日でも、感じることがたくさんあった。また訪れて、より深く知りたいと思わせた、今回の旅行だった。ネットや本や写真から得るよりも遥かに多くのことを感じることができる。少し街なかに立つだけでも、旅行をした人の人生は、それまでよりも違う。
最後に、しかし軽からず(Last, but not leastは日本語で何と言えばいいのだろう)、事前情報をたくさんくれた友人達、相変わらずの俺のわがままに付き合ってくれたじょにおに感謝。長々としたこのブログを読んでくれた方々にも。