都下(23区外)に見る映画や本、音楽の趣味性


今日は夕方DVDで映画を観ていたのだが、うちの近所にはツタヤがなく、あるのはGEO。まあはっきり言って、確実にクオリティーは落ちる感じだ。それは店舗に置いてある品揃えもさることながら、どんな商品を選ぶかという視点の質が、確実に低いのである。観たいと思わせる作品が全然見つからない。並びがめちゃくちゃ。ペドロ・アルモドバルの”Kika”が「ラブ・ロマンス」に並んでいるかと思えば(まあ恋愛の話は入っているけど…)、『ブロークバック・マウンテン』が「ドラマ」だったり。今回借りた映画は高尚なものではなく、この間レビューを書いたホラー映画”Rec”の続編”Rec2″だったのだが、”Rec2″が新作の欄に並んでいて、その下にあって観た”Rec”は、ハリウッド版。観たかった原作のスペイン版は、新作の棚の関連作の箇所にはなく、奥の「SF」の欄にあった。まったく!(しかも「SF」……????)

そして何より、商品棚からインスパイアされないというか。観る側の層に合わせた品揃えなんだろうと思うが、邦画で、パッケージさえ視界に入るのも嫌という感じのくだらないのが、棚の大部分を占領している有様。かかっているBGMもJポップの聴くに堪えないひどいのがかかっていて、それが嫌さに早く場所を立ち去りたくなる。

近所のGEOは、ビルの2階に入っていて、その1階には本屋があるのだが、その本屋もそんな感じだ。美しい本はほとんど見つからず、雑誌も低級な感じ。小説や文庫本も平積みになっている売れ筋と思われるものは、唾棄すべきものがほとんど。そしてGEO同様のBGM。

23区外での生活は、自分で意志的に選んだ生活で、基本的に満足しているし、快適だ。が、映画や本や音楽というものに触れようとするとき、やはり趣味が一般大衆に向けられたものになっていることに、不便を感じる。趣味性を追求した生活をしている人が多い23区内に比べて、家族を養う必要から郊外を選ぶという、意志的でないライフスタイルの人々がいて、その子供は当然ながら一段落ちる趣味趣向を持っていたら、そこに商売がフォーカスされるのは仕方がない。仕方がないが、このように「うーん…」と思うこともあるのだ。自分の趣味趣向に合ったものに手を伸ばそうとしたら、すぐそこで手に入れられるとは思わず、出かけて自分から手を伸ばしてつかみとる心構えが、23区外では必要だ。などとは言ってみたものの、今回借りたのは十分に通俗的なホラー映画だったりしたのだが。