映画レビュー REC (1, 2, 3 & 4)


REC 4 ワールドエンド (REC 4 Apocalipsis)


(★★★★☆ 星4つ)



3が駄作だったが、一応シリーズとして観てみたら、意外に楽しめた。副題は邦題では「ワールドエンド」だが、原題では”Apocalipsis”(黙示録)。

舞台は海上を航行する船が主だが、その前提としての建物内の光景からストーリーは始まる。そのギャップは少し分かりにくいが、すぐ推測で補うことができるし、ストーリーそこの説明は簡略化されているが、まず話を追うのに困難はない。

REC、2、3を知らないとしてもそこからしばらくはまずまず楽しめるかもしれないが、後半以降に「そうか! あれがこうなってたのか!」と内幕が明らかになるところや、開始時の建物のシーンと船がどう繋がるのかは、見ていないと分かりにくい。

まあありがちな展開なのか、と思っていたら、やや退屈な前半を通り越すと後半で疑惑の対象は二転三転し、推測を良い意味で裏切られ、新鮮。そして血しぶきは多めだが、グロを期待するようなコアなホラーファンにはスプラッター度合いはやや物足りなめか。しかしスペイン映画は、真面目に作っているのにどこかおかしみを感じることが多いのは何故だろう?

エンディングは、これでまた続編作っちゃうのかなあ、でももう作るとパロディーになっちゃうだろうなあと思われる、若干チープな感じ。しかし、展開に起伏があったので、観たあとまあまあ面白かったなと思えるので、エンディングには目をつぶることができる。(2016/9/5 記)

REC 3


(★☆☆☆☆ 星1つ)



作らなければいい続々編をやっちまったなあ、という駄作。まず、尺を稼ぐためだけの前振りが長すぎ。舞台は結婚式なのだが、そのプロットを置くためだけの最初18分は完全に無駄。

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そしてその後もお約束すぎる展開だが、ゾンビが悪魔の憑依であることからキリスト教の説教を聞くとおとなしくなるのは、どうにもテンションを下げる。

そして展開もダル。花嫁がゾンビ倒しに一念発起してチェンソーを持ち出し、ゾンビを縦割りにするところも新鮮味はなし。ドバドバっぷりともう突っ走っちゃえというヤッタレ感は前作2よりもよりスペインらしい感じはするが。

どうにも終わりも中途半端で、ゾンビものというジャンルの飽和と終末感だけが感想として残る。ちなみに前作2とのストーリーの関連はなく、それもまたマイナスポイント。(2013/10/21 記)

REC 2


(★★★☆☆ 星3つ)



ホラー映画にはもはや続編のないものは存在し得ないのだろうか。たいていのホラー映画が続きを匂わせるエンディングで、想像通り続編が出るものになっていて、なかにはシリーズものになるものも少なくない。これもやはり定石通りに”REC”からの続編。
しかし、完全に話が1話はここまで、ここから2話という分け方でなく、前作の違うアングルで実はこんな人がいました、というオーバーラップがあるのが独自の感じ。そして、「ああ、あのエンディングからはこうなっていたんだ」というのの溜飲を下げる感じもある。

ちなみにこれはスペイン映画で、1作目にはスペイン版のオリジナルと、リメイクされたハリウッド版があるが、ハリウッド版は、多少設定の違いはあるが、スペイン版にほぼ忠実に作られているので、観た1作目がハリウッド版であっても、ちゃんと話は繋がってついていける。

が、その話の設定がちょっと気分を下げてしまった。「実はこの話の内幕は……」というそれが、どうにもありがちでつまらない。(ここではネタばらしはしない)

では、スプラッター的要素はどうかというと、これも1作目での笑ってしまうほどのドバドバ感はなし。凶悪化したクリーチャーを吹っ飛ばすシーンはあっても、それが倒れたあとはカメラアウトしてしまっていたりして。どうせ観る者は血しぶきを期待しているのだから、そこはたっぷりやればいいのに、と少々フラストレーション。そのあたりはやはりハリウッド版の1作目はうまかった。

しかし、つまらなくて見ていられないかというと、そうでもない。いろんな登場人物からの複数の視点が組み合わされているところはいいし、わざと観客をじれったい思いにさせる子供が出てくるところもいい。血しぶきは少ないとはいっても、1作目に比べれば、といった感じ。クリーチャー達の作りも安くない。1作目を観て面白いと感じたら満足度は多少下がるが、観てもいい作品。

REC (1)


(★★★★☆ 星4つ)



いわゆるゾンビもの。感染すると人を襲い、襲われるとその人もゾンビに、というのは定石。昔のゾンビはノソリノソリと歩いてきたものだが、『28日後』やその続編の『28週後…』あたりから全力疾走ゾンビがポピュラーになってきた。これのゾンビも時流に則り、(笑)動きも早くて全力で襲いかかる。

最初の方は展開がちょっとダル。しかし、耐えられないほどでなく、前振りを丁寧にやっている感じで、展開に感情移入させるにはよし。アパートに閉じ込められた住人達が、パニックになりながら次々と…、というのはスピード感があってよし。最後の方になると、「残ってるのは誰だっけ?」「このゾンビ誰だっけ?」という状態で、血しぶきも期待どおりぶちまけられ、ちょっと笑えるほどに存分にゾンビが活躍。

カメラワークは『ブレアウィッチプロジェクト』や『クローバーフィールド』でおなじみの手持ちハンディカメラのブレブレ画像だが、カメラを持っているのがカメラマンという設定なので、見やすさが少し考慮されている。

最後の方に、なぜこうなったかというののタネ明かしがあるが、その場面には『羊たちの沈黙』や『SAW』の影響が感じられる。そして、「え~…。そこで終わり?」と思う終わり方。当然続編あり。要するに、ゾンビの流行り+手持ちカメラでのホラー映画という流行り+カルト集団のにおい+続編あり、という、全部乗せ状態のホラー映画なのだが、これはこれであり。俳優の演技力や、特殊メイク、CGなどのクオリティーもまずまずなので、B級ではなく普通のホラー映画として楽しめる。