水の夢


久しぶりに長い夢を見た。自分の記録としてつけておく。この夢の共通イメージは水だ。風呂と、湖と、川が出てくる。

2010/10/3夜の夢日記:

大阪にあった実家にいて風呂に入ろうとしているが、風呂は隣家にあって、風呂を出ようとすると私道を通らねばならず、道から見えないように身をかがめて通る。

家に着くと渓流のような森の中のような場所で、(ひょっとしたら夢は一旦途切れて別の夢が始まったのかもしれない)そこには水と泥が流れていて、そこをスライドして下の遠い所にどこまで行けるかを競う競技が行われている。が、競技に参加している人は見えない。俺は黒い木の椅子をひっくり返してそれに乗り、椅子の脚をつかんでホップするようにして、その流れを滑り始める。途中からはボブスレーのような寝姿勢で滑り、眠気に目を閉じながら滑っていて、どこかにぶつからないのだろうかと思うが、流れを順調に滑って行く。

そのうち、だいぶ長く滑って爽快感を感じ、ふと目を開けると原っぱのような場所に出ている。俺が最長不到で優勝のようだ。俺はつま先を泥に立てて滑った距離の目印をつける。友人何人かと、見知らぬ人が犬を連れて走り寄ってくる。犬が俺のつけた目印あたりを嗅ぎ回って前足でそこを掘り始め、しばらくすると木箱が出てくる。木箱には本が入っていて、数冊入っているうち、俺は小学生向けの古いムック本を手にして興味を持ち、持ち帰ることにする。友人達はそれに対して何か冗談を言って、俺もそれににこやかに返しているが、内容は忘れてしまった。

次の場面がまだあって、(やはりここでも夢は一旦途切れて別の夢なのかもしれない)どこかの和風旅館に泊まっている。親戚縁者の集う温泉旅行のようで、縁側のような長い木の廊下を通って露天の温泉に向かう。時間は日が暮れて辺りは既に暗くなった頃。

温泉は湖畔にあって、いくつかの湯があり、まずは一番手前のごく普通の湯につかり、しばらくしてその隣の、浅く白い濁り湯に入る。さらに向こうの別の湯には、叔父と父が入っているようだ。父は出て行って、横を通り過ぎるその姿を見ると、ペニスが勃起していた。(それについては何の感想も持たなかった)俺は父の出た湯に移る。

移った湯は深くて透明で、縁には丸い2、30センチくらいの石が並べられていて、隣接した湖と湯を区切っている。出て行ったはずの父も何故か湯に浸かっていて、叔父も父も脱いだ服を縁の丸石に置いているのだが、服の端が湖の水についてしまって濡れている。俺は服を引き上げて置き直すのだが、やはり服の端が水に浸かって濡れてしまう。「せっかく温泉で温まっても水で冷たく濡れた服を着なければならないなんて、どうするのだろう」と思う。ふと見ると、湯と湖を区切る丸石は一部途切れていて、湯が湖の方へ流れ出している。叔父がその湯と湖の水が混じり合っている所に泳ぐような格好で浸かっているのを、俺は縁の丸石に立った高さから見ている。湖の水は暗くて透明で、冷たい。

次にその温泉地から俺は母親を背負って、母親を母親の実家(現実にはもうない)の小さな村に連れて行くことになっている。(温泉には母はいなかったから、ここはストーリーが連続しておらず、唐突。ここでも夢は途切れていたのかもしれない。)母親は俺に背負われて、手を俺の肩にかけてすやすや寝入っている。(これは現実世界でパートナーじょにおが俺の背中から抱きついて寝ていたその時の身体感覚が夢に影響している)俺はそのおぶる感覚を心地良いと思っている。現実には母を疎ましく思って遠ざけているのに。

川を流れの左手から右手に横切って、渓流の横を下る。右手に横切ったはずなのに、下っているのは川の流れの左手だ。俺が履いているのはゴム草履で、足首まで水に浸かっていて、水を冷たく感じる。渓流横をしばらく行くと、川幅が広がって、川は底がコンクリートで固められて整備されている。そこでは近々フィギュアスキーのようなものの水上バージョンが開催されるらしい。だいぶ歩いて、ふと川の流れる先を見ると、辺りは工場が建っている開けた場所で、目指す山中の田舎とは違う。川の行き着く先は田舎でしかあり得ないはずなのにどうしたものかと、俺は背中でなおも眠る母を背負って思案しながら、とりあえずはさしかかった川と道路の交わるところで道路標識を見て、「中津川」と見覚えのある地名が書かれた左に曲がる。中津川は、現実世界では母親の実家のあった田舎に車を使って行く場合に降りた高速のインターチェンジのある場所で、目的の田舎からは80kmほど離れている場所だ。

風呂に入る夢というのは今まであまり見たことがないが、山間にある川や湖は、夢の中のイメージとして繰り返し現れる。夢の川や湖は、いつもどこか寂しくて、透明で、湖にはたまに、恐ろしく大きな古代の魚が泳いでいたりする。で、今回のこれはどう読み解くのかと夢占いのサイトなどを見てみたが、どうも吉凶混合していて一定したイメージではないようで、深読みはしないことにする。

それより意外なイメージで夢から覚めた時に嫌だなと思ったのは、背中に母をおぶっていたこと。そして、それを心地良いと感じていたこと。目が覚めた時、後ろから抱きつくような姿勢でじょにおが寝ていて、ああこの身体感覚かと思ったのだが、現実世界のそれ自体はもちろん心地良いに決まっているのだが、母親の思念がそこに忍びこんできて化体しているようで、夢の内容にぞっとした。どうせ見るなら、寝覚めのいい夢を見たいものだ。<>