日曜デート 代官山→下北→新宿→中野


昨日はじょにおも休みで、一緒に買い物をしに出かけた。「家でいつも一緒にいて休みも?」と思うかもしれないが、案外丸一日一緒に休みというのは少ない(2週間に1度)しかし、時間が合えば一緒に行動。やっぱりパートナーだけあって、感覚が合うのだ。逆に、あんまり一緒にいたくないパートナーっていうのも変でしょう?(笑)昨日は「要るけど必須じゃない」というアンビバレントな物を買いに、代官山、下北沢、新宿に出かけて、中野で食事をして帰ってきた。が、代官山についてはバッサリ斬っているので、そういうのが苦手な方は読み飛ばして、下北沢の箇所からどうぞ。

代官山 ~フェイクの寄せ集め~

さて、まず出かけたのは代官山。ジョルジオ・アルマーニの香水に携わっていた人がNYのソーホーで独立して作ったという香りの専門店LELABOがあり、カスタマイズの香水も作ってくれると聞いて行ったのだが、結果、大変残念な店だった。外見は代官山の店にしては大きめのビルなのだが、2階建ての2階部分は閉鎖。1階の狭いフロアには各種の香水が混ざって臭い(香りではない)が充満しており、香りをきく気になれない。ムエット(香りをテストする紙片)に香りがついてるからそれで試せというのだが、香りの違うムエットを3本も挿してあるものをそれぞれ嗅げといわれてもねえ。ムエットの香りもとんでしまっているし。そして、店員からは香水のライン展開やカスタマイズの案内などもされず、馴れ合いの客との会話ばかりしている。「こりゃダメだ、高品質と謳うものを売るということの本質が何も分かっていない」と思い、早々に退店。不愉快。出際に店員の一人が「パンフレットをお持ちしますか?」と尋ねてきたが、「結構です、興味を持ちませんでしたので」とはっきり言っておいた。肝心の商売の形態がなってない。あんな店は長くもたないね。

さて、気分を変えてお茶でもと思い、シェ・リュイのカフェに行く。シェ・リュイの本店の道路向かいにあるカフェなのだが、これまた大変残念。接客の女が無表情、声は小さく応対内応が全然聞き取れない、ケーキの内容を聞いても要領を得ず、とんちんかんな答えをする。そして失敗に「申し訳ありません」と言わない。時間が経ってものを持ってきて給仕する時に「お待たせしました」と言わない。思わず「あなた日本語通じてる?」とか言ってみたが、こういう人種には何語で言ってもおそらく無理。テラス席にしたが、ひさしのテントの縫い目は全部ほつれて端は破れているし、正面にはゴミが落ちているし。最低。

ヘムが全部ほどけて端もボロボロのテント。
ヘムが全部ほどけて端もボロボロのテント。
店の正面玄関先にはおしぼりの袋とナプキン。
店の正面玄関先にはおしぼりの袋とナプキン。

ここも二度と行かない。シェ・リュイのケーキやタルト自体はおいしくて、もう20年来食べているが、ここはまるでダメ。カフェは気分を提供するもの、食欲だけ満たせばいいというのは文化的に下の下。残念至極。思うに、代官山はビジネスごっこの場所で、物売りの何たるかの本質を追求している所なんて、ほとんどない。格好や雰囲気優先だが、雰囲気を売ることさえも理解していない所が多い。その証拠に、結局うまく行かなくて、店がころころ変わるではないか。東京に20年以上暮らしている人なら分かると思うが、東京が分かっている人が代官山と聞いて思い浮かぶのは大使館くらいで、田舎者が騙されて憧れる場所ではあるけれど、都会人の考える都会的センスはない場所。大した高級品もないし、本当にハイセンスなライフスタイルの人は、別の場所で何をどう手に入れたらいいか分かっているから、あんなハリボテの場所には行かない。六本木よりひどい。という訳で、代官山、都内で行ってはいけない場所堂々第1位に選定。

下北沢 ~カオスの健全~

そんな代官山を後にして、違うスタイルの渦巻く場所、下北沢へ移動。タヒチで着るアロハシャツを探しに。下北沢は庶民の町だが、まだ商売はまっとう。下北沢は大きな道路を通すとか、小田急が高架化して区画整理されるとかでいまだ揺れていて、それに反対するポスターが張ってあった。リリー・フランキーのイラストによるもの。リリー・フランキー、やるな。町のエネルギーというのは、町に集う人・暮らす人・町並の三位一体。下北沢を「整理」してどうする。下北沢は、いろんな物や店が混然としている中からエネルギーが生まれる、整理されないことによる有機の力強さが魅力の町。
さて、下北沢では古着屋を歩いて回り、アロハシャツを見繕って買った。思いがけず、4着×2人分で8着も手に入れた。下北沢には古着屋がたくさんあって、置いてあるものや品揃えもピンキリだが、どの店もちゃんと商売をやる気があるし、客もそんなピンキリの中から自分にとっての(←ここ大事)お宝を見つけるのを楽しみにしている。そして、接客もちゃんとしている。店たるもの、かくあるべし。俺は普段の物の嗜好からは洗練と高級にしか食指を伸ばさないとも思われがちだが、もちろんそんなことはない。こういう所も大好きだ。

アロハシャツ。上段がじょにおの、下段が俺の。4着ずつ計8着。
アロハシャツ。上段がじょにおの、下段が俺の。4着ずつ計8着。

新宿 ~フィルタード・センス~

次に、新宿パークタワーのThe Conran Shopに行ってきた。カタログの案内が来ていたのでもらって、(一般向けにも売られているようだが、840円も出して買うようなものではないと思う)ついでに10%オフのクーポンももらって、買い物。前に出かけて買った食器のJasper Conran × Wedgwoodのシリーズを買う。ちなみに、同じイギリスのConranだが、Jasper Conranはファッションデザイナーで、コンランショップを手掛けるTerence Conranとは別。今回買ったのは食器の名門WedgwoodとJasper Conranのダブルネームのものだが、Terence Conranも名門Royal Doultonとのダブルネームで食器のシリーズを出している(そしてそれもうちにある)のでややこしい。もとい、Jasper Conran × Wedgwoodの食器を買い、この間シャンパーニュグラスを割ってしまったので、Riedelのシャンパーニュグラスをペアで買い、秋用のルームフレグランスにちょっとセクシーな香りのApothiaのVelvet Ropeディフューザーを買う。

さてここで「やっぱりお金かかる物ばっかり選んでるじゃん!」と思ったあなた。ノー! 普段使い用に薄いガラスのゴブレットもコンランショップで買ったのだが、これは価格をリーズナブルに設定した、その名も”Well Considered”シリーズで、6個セットで2625円=1個437.5円。センスのいい所でも惑わされず、自分のセンスというフィルターを通して物を選ぶ、それが買い物というもの。「こんなに買っちゃいました~!」も楽しいんだが、「そこに自分があるか」が大事

ルームフレグランス、皿5枚、シャンパーニュグラス2脚、ゴブレット6脚。左端はカタログ。値段は敢えて言わない。(笑)
ルームフレグランス、皿5枚、シャンパーニュグラス2脚、ゴブレット6脚。左端はカタログ。値段は敢えて言わない。(笑)

中野 ~本当のイタリア料理が中野で食べられる~

午後に出かけてここに至るまで、夜7時前。お腹が空いたので、前にレビューで紹介した中野のイタリア料理店Jovanniに行く。ここは食材が凝っていて、日本のイタリア料理屋ではなかなか食べられない物がカジュアルなスタイルで食べられる、隠れた名店。到着すると禁煙の室内は満席で、喫煙可のテラス席に案内される。テラス席は大好きなのだが、喫煙がネック。が、運良く1品目を食べたところで室内が空いたので、中に移る。

テラス席。屋根があるので雨でもOK。
テラス席。屋根があるので雨でもOK。

今回食べたのにも面白い食材がたくさんあって、フレーグラという粒状のパスタ(クスクスよりも大きくて米粒に近い)のサラダ仕立て、ブカティーニ(マカロニが長くなったような形状のロングパスタ)、里芋を皮ごとオーブンで焼いた里芋のグリルのゴルゴンゾーラソースがけ、サルシッチャという太くて長いソーセージのグリル。どれも、素材扱いも組み合わせる素材の取り合わせもよくて、お腹いっぱい幸せいっぱい。他にも、薄い生地で野菜とチーズを包んだカルツォーネや、身がぷりぷりのキンメダイのアクアパッツァ、オーナーの奥さんが作っているというデザートも頼んだ。どれも味わい深い。

フレーグラ。魚介とともに。食感むっちり。
フレーグラ。魚介とともに。食感むっちり。
ブカティーニはいわしとともに。濃厚な味わいにディルが合う。
ブカティーニはいわしとともに。濃厚な味わいにディルが合う。
ねっとりした里芋とゴルゴンゾーラが充実した食感を届けてくれる。
ねっとりした里芋とゴルゴンゾーラが充実した食感を届けてくれる。
キンメダイのアクアパッツァ。スープももちろんいい味。
キンメダイのアクアパッツァ。スープももちろんいい味。
サルシッチャ。ハーブが香る。しっかりした食感。レンズ豆のペーストが添えられている。
サルシッチャ。ハーブが香る。しっかりした食感。レンズ豆のペーストが添えられている。
季節のフルーツタルト。
季節のフルーツタルト。

きびきび立ち働く女性のフロア担当は小気味よく、我々のように食事メインでがっちり食べるタイプの客にもテンポよく対応してくれる。ここは味の分かる人には本当にお勧めの店。ただ、値段を気にせずあれこれ注文してたらふく食べると、値段は一人当たり約7500円。ふらっと入って食事という割に、値段はあまりカジュアルではないけど、それだけ払う価値は十分にあり。

◇ ◇ ◇

午後から出かけたのに代官山→下北→新宿→中野と4ヶ所行ってきたのは、パワフルだった。そして商売について考えさせられること・面白いことなどがてんこ盛りの一日だった。しかし、金ではなくてセンスとは言っても、「ちょっとデートでお買い物と食事」にしては、結構お金を使っている。俺は40過ぎでまあこんな生活もしている人は他にもいるかと思うが、じょにおは20代でこんな贅沢をしていていいんだろうか?(笑)