連休記録 食生活編


食生活が喜びの大きなウェイトを占めている我が家、連休記録はまず食生活編から。

連休前は仕事でバタバタしていて、やっと休みに滑り込んだ有様。そこで、金曜の夜、連休突入記念に1本。(笑)

François Billion Brut Milesime 2006
François Billion Brut Milesime 2006

François Billion Brut Milesime 2006(フランソワ・ビリオン ブリュット・ミレジメ 2006)は、最近注目されている作り手の手による自社畑生産のシャンパーニュ。この作り手が何故に注目されているかというと、あのSalonの醸造長を30年勤めた人なんだそうだ。すごい髭の人が生産者情報のページには紹介されている。グラン・クリュ(特級畑)のメニルのシャルドネ100%を使っての単年生産(ミレジメ)となると、やはりSalonを連想する。

で、飲んでみた。開栓すると香ばしい発酵香がして、グラスに注ぐと泡立ちは豊か。色味はシャルドネらしい緑がかった淡い黄色。

泡立ちと色味。
泡立ちと色味。
金色のミュズレー。
金色のミュズレー。

適度な酸味、そして開栓直後から、まるで杯を重ねて後半に香るような深い香り。樽のニュアンスがするなと思って調べてみたら、やはり樽熟成をしているようだ。石灰質のミネラルも感じる。そこはさすがに、そんじょそこらの物ではないなと思わせる。
一方で、味に少し膨らみというか奥行きが足りない感じもした。そこはSalonを連想しながら飲んでしまったせいだろうか? 値段はSalonのウン分の1、小さな作り手のかわいらしいシャンパーニュであることを考えれば、これはこれで成り立っているとは思うのだが、有無を言わせずいいねと思うほどでもなく。残念ながらこれはじょにおにとってはあまり好みでなかったよう。俺も、まあまあ、といった印象にとどまった。

さて、変わって次は。夜遊びをして、昼間ぼんやり起きて何か健康的な物を食べたいと思い、余っていた食材で作ったのがこれ。

煮豚と紫玉ねぎとパプリカの和風サラダ。
煮豚と紫玉ねぎとパプリカの和風サラダ。

最近じょにおが家事を頑張ってくれていて、金曜日に煮豚を作ってくれていた。それと、その前の木曜日に俺がタイ料理を作った時に使った紫玉ねぎが半分残っていたのを使って。煮豚を適当な大きさにほぐし、水に晒して水気を切った紫玉ねぎと、細切りにしたパプリカと混ぜ、小ねぎをちらしてあとはポン酢をかけるだけ。でも旨い。

このサラダと、パンとその他を食べて、昼過ぎにダラダラしていて、気分がしゃきっとしないので、紅茶を入れることにした。マリアージュフレールのCasablancaというのを試す。この前じょにおがパリに出張した時買ってきてくれた土産物の一つだ。

茶葉は緑色。
茶葉は緑色。

ミントの葉が入っていて、ベルガモットの風味がつけられている。ミントはモロッコ産、ベルガモットはシシリア産らしい。茶葉は緑色だが入れたお茶は紅茶色で、ミントの香りとベルガモットの酸味。これはアイスティー向けで爽やか。

連休中の食事はずぼらをさせてもらって、外食が多かった。お手軽にレッドロブスターに行って食べたり、近所のフレンチビストロで食事したり。なので、上記のサラダくらいしか食べ物の画像はない…かと思っていたら、チーズを記録しておいたんだった。(笑)

チーズ4種。
チーズ4種。

右手前から、コンテAOC24ヶ月熟成、デルモンスイス、シャビシュードポワトーAOC、サンフェリシアン。

少しずつ切って皿へ。中央は干したいちじく。
少しずつ切って皿へ。中央は干したいちじく。

で、何故これを買ったかというと、次の1本を飲むため(またか)。月曜日に開けたのだが、いやいや、これにはちゃんと後述の理由があるのだ。

箱入りでは買わなかったのだが、麗々しく包み紙に入っている。
箱入りでは買わなかったのだが、麗々しく包み紙に入っている。
Taittinger Comtes de Champagne 2000
Taittinger Comtes de Champagne 2000

Taittinger Comtes de Champagne 2000(テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ 2000)は、テタンジェのトップキュヴェ。こちらもグラン・クリュのシャルドネのみから作られたブラン・ド・ブランで、2000年のミレジメ。Taittingerはいつの間にか何本か飲んでいて、Cuvee Prestige RoséLes Folies de La MarquetterieNocturne SecPreludeを過去に体験し、これに至る。トップキュヴェだけにどんなものかと期待して飲んだ結果、その複雑と高貴にう~んと唸らされた。

開栓して芳しい香りと共にグラスに注ぐと、色が緑がかっているのにまず目が行った。ブラン・ド・ブランは緑がかっているものが多いが、これは今までの中で一番緑に振れていた。

写真だと色の再現性が微妙だが、だいたいこんな感じの色。
写真だと色の再現性が微妙だが、だいたいこんな感じの色。

口に含むと泡はシルキーで、ムースのよう。そして、酸味、シトラスなどのフレッシュフルーツの香り、白い花の香り、潜む蜂蜜などが、ミネラルを伴って展開されるが、一口目は硬い。まだ開いていないので、プレステージのシャンパーニュはじっくり置くべし、と、ゆっくり目に飲むことにする。

すると、そうした香りの要素は次第にやわらかく華やかさを伴ってくるが、まるで悦楽のベッドにあっても私は寝乱れないの、と言われているかのように、どこか近寄りがたい高貴さを維持していて、寄り添ってこない感じがする。あるいは、「手前どもの歴史は長うございまして」と口上を述べる京都のちょっと意地悪な老舗が「ふん、そんな若造に何が分かるものか」と自分たちの意地を見せるように、なかなか手ごわいのだ。用意したチーズも合わなくはないが、手放しでマリアージュを喜ぶほどには味わいを増幅させてくれない。

Comtes de Champagne 2000とチーズのあるテーブルの光景。
Comtes de Champagne 2000とチーズのあるテーブルの光景。

余談だがこのボトル、下がかなり太い。いつも使っている垂直のワインクーラーには途中までしか入らず、別の陶器を用意して横たえている。

さて、そんな感じで、トップキュヴェの割には喜び具合が微妙、と思いつつ、最後も最後、グラス半分を残すばかりになったところで、甘い物でもひとつ食べてみようじゃないかということにして、ハーゲンダッツのミックスベリーカスタードを出してきて、食べつつ飲んだ。すると、なんとふわりとした味わいで、いいではないか。なーんだ、こんなことなら甘い物好きの我が家、そういう物と合わせればよかったんだね、ということになった。このなかなか開かない感じ、このシャンパーニュは2000年でもう12年も経っているが、さらにもっと熟成させてから飲んだ方が良かったのかもしれない。この扱いの気難しさ、シャンパーニュはまだまだ奥深いと思った1本だった。

ところで、何故こんなのを飲んだかというと、この連休が同居開始から3周年だったからだ。我々の関係性はこんなふうに気難しくも複雑でもなく、カラリと夏の空のように晴れ渡っている。それは兎にも角にも、じょにおの気立ての良さに因るところで、いつも感謝することしきりだ。これかもよろしく。そしていい記念日を過ごしましょう。(笑)