昨日、45歳になった。まったく年齢の自覚がない。(笑)不惑の年代も半ばになりながらも進歩がないと焦りつつも、生活を楽しむ余裕は出てきたようだ。さて、そんな訳で、誕生日はオーベルジュで祝おうと、日月に箱根へ1泊で出かけてきた。もちろんじょにおと。オーベルジュでのお祝いは、じょにおのはからいによるもの。
DS4は好調。スタッドレスに履き替えてもなかなかの静粛性を保って快適にドライブできた。せっかく箱根に行くのだからと、そのまま行かず、TOYO TIRES ターンパイクを通ることにした。DS4はマニュアルモードでは特にキビキビ走ってくれる。
ところが、ビューポイントについたら濃霧。景色はまったく見えず、フォグランプをつけて走らねばならないような景色。んー、これは今までの人生が五里霧中であったことの精算であると思うことにする。(笑)
さて、山を降りて、まだチェックインの時間には早いし、お昼をビューポイントで食べそこねた(あまり食べる気になるようなシロモノがなかった)ので、立ち寄り湯の天山にでも行ってお昼を食べてお湯にでも浸かろうと、向かった。
天山に着くと、日曜だから車で入るにも待ちかと覚悟して行ったのに、比較的空いていてすぐ入れた。時間は2時前。ギリギリでお昼にありつく。
そしてお湯に入り、ゆっくりのんびり。少し寝転んで、ドライブの疲れを取ってから、オーベルジュ『オー・ミラドー』のある芦ノ湖方面へ向かう。
芦ノ湖畔に行くと、霧も晴れていてほっとする。お目当てのオーベルジュ『オー・ミラドー』は芦ノ湖のすぐ近く。夕方になり、車を停めて、チェックインする。
宿泊の部屋はメインレストランの2階にある。フランスの片田舎をイメージした、クラシックな作り。
チェックインして落ち着いたら、ここの別館にある温泉に入りに行く。温泉があるのはさすが箱根。建物は3棟に分かれており、裏の小道を通って行ける。温泉のある別館はアジアンテイストを採り入れた建物になっている。
そしてひとっ風呂浴びて、夕寝をして、いよいよディナー。
ディナーは秀逸。食事についてのレビューは別途書いたので、そちらを参照してもらうことにして。このブログではシャンパーニュの記録をしているので、食事の時のシャンパーニュの印象について記す。今回はせっかくなのでトップキュヴェのシャンパーニュをということで、Alfred Gratien Cuvée Paradis Brut(アルフレッド・グラシアン キュヴェ・パラディ・ブリュット)を選択、コースを通じて飲むことにした。あ、ボトルを撮るの忘れた。(笑)
Alfred Gratienはクラシックな造りをするところで有名。Cuvée Paradisに年代表記はないので一応ノン・ヴィンテージということになるのだが、実は単一年で造られていて、これは98年のミレジメなのだとか。(新しい物だと2005年のがあるらしい)ちなみにボトル裏を見たところ、デゴルジュマン(澱抜き)は2001年2月。従ってそれから11年は瓶内熟成の時を経たことになる。
ソムリエが音もなくコルクを抜き、テイスティングに少量グラスに注ぐと、早くも高貴な香りが立ち昇る。
そして飲むと、最初から圧倒的に高貴な熟成香に驚く。バニラやクローブの濃厚な香りに、熟成した白ワインの厚みが加わっている。そして香りは厚みがあるが、飲み口は重たくなく、ブリュット。そしてフルーティーさも保っているのは、ピノ・ムニエの影響か。泡は細く立ち昇り、グラスの中では目立たないが、口に含むとムースのような滑らかさを持っている。だいぶクラシックなタイプだが、その重厚感と、同時に華やぎをもたらす造りに満足。アントレにはラムを選択したのだが、肉料理とも堂々渡り合える1本だった。
これには俺は大満足。じょにおは、実はこうした飲み口のはあまり好みでないのだとか。しかし、その重厚な造りが上質であるのは飲んで素直に感じられるということで、点数を聞くと10点満点で9点は行く、と言っていた。
さて、食事についてもう少しだけ。デザート前のチーズに、甘いワインをあわせることにしたのだが、まず勧められたのが1985年のヴィンテージポルトー、Graham。そして、「面白いのがありますので」とソムリエが出してきたのが、Henri GeraudのRatafia de Champagne。「おお、Ratafia!」と2人して見つめる。実は、家で買おうかどうかなどと言っていたのだ。大喜びでチーズとともに味わった。
実は、Cuvée Paradisのデゴルジュマン時期についてソムリエに聞いた時、ボトル表記とは違う答えが返ってきて「?」と思ったのだが、その後シャンパーニュ好きにはこのRatafiaを、と勧めてくれたあたり、いいはからいで、とても気分が良かった。ちなみにレストラン内の席だが、たまたまとは思うが、入って一番奥、暖炉の隣のベストポジション。暖炉にはまだ火が入っていなかったが、2人で誕生日を祝うと、いつもそのレストランの一番いい席に案内されるラッキー続き。
さて、誕生祝いで行ったので、誕生日のケーキが登場。ハッピーバースデーをフランス語で歌いながら登場したのはこちらのケーキ。
これは絶品だった。そしてこの後もコーヒーにお茶菓子にと、たっぷり。嬉しいことに、先に食事を済ませて出ていくご婦人方が次々に「おめでとうございます」と言ってくれて、ああ、良いレストランで食事をすると、そういう気分の良さもあるもんなんだよなあ、と実感。
食事をした後は、らせん階段を上がって自分たちの部屋へ。もう大酔っ払いなので、そのまま服を脱いでコテっと就寝。そうした気楽さがオーベルジュの良いところ。
翌月曜日の朝。食事前に朝風呂に入り、周囲を散歩。今年は夏の暑さがなかなか引かなかったせいか、紅葉が遅いようだった。
朝食は別館で。自家製パンやコンフィチュールはたっぷり。キャビアをあしらった半熟黒たまごに、アカザ海老のフランなど、優雅なひととき。
たっぷり食べて、部屋に戻り、準備をしてチェックアウト。せっかく箱根に来たので、美術館を2つほど回ることにした。
まずはラリック美術館。ここは建物もモダンで、美しいベル・エポック時代のラリックの作品をまとめて見られるので、お勧め。
そして、旧マイセンアンティーク美術館へ。今はマイセンからもう少し裾野を広げて、アンティーク磁器を手広く展示する内容に変わったようだ。ここはこじんまりした印象。
ようやく空も曇りがちだったのが晴れてきて、いい感じになってきた。
ここから御殿場方面へ抜けて、御殿場のアウトレットをぶらぶらして多少買い物をしてから都内に戻った。割と早い時間に戻ったので、自宅へそのまま帰らずに、吉祥寺を散策し、夕飯を食べてから帰宅。
このようにして、45歳のスタートを大変優雅で気持ちのいい出来事で切ることができた。じょにおには心底より感謝。オーベルジュの部屋で、心あたたまるバースデーカードももらって感激した。
実は祝いのとどめに、帰宅した夜にもいいシャンパーニュを1本空けたのだが、長くなったので、それはまた別立てで。