3月24日、放射線科と頭頸部外科の定期診察があった。1週間前のCTと血液検査の結果を受けてのもので、異常なし。これで再発癌の治療完了から丸5年何もなく、担当医からは「まず大丈夫」とのお墨付きの言葉をもらった。治癒したと見てよく、ようやく癌から真に解放された気分だ。
再発癌の治療は放射線と抗がん剤によるもので、特に味覚喪失時は辛かった。髭を剃る気になれず(放射線治療中に放射線が当たる部位付近の皮膚に負担をかけたくなかった)、髭を伸ばした状態の写真があった。

不健康な痩せ方もしたし、そこからの回復は長く、肉体的にも気分的にも辛く、回復するとは言われていても、期間の確証がないのがまた負担となった。
この5年の間にも、「もしまた再発したら」という不安は常にあったし、耳の下が痛んだ時などの不安や焦燥は嫌なものだった。治療による免疫低下の最中にコロナ禍をどう乗り越えるかにも神経を使った。幸いにも未だ新型コロナ感染症には一度もかかったことがないのだが。
初回の手術を含むこの治療で、結局体にダメージは残った。左の首筋は常に圧迫感や引き攣れ感があるし、そこの表面の皮膚には感覚がない。2回目の手術で器具圧迫を受けたことにより、舌の右端中程にも無感覚の箇所がある。首周りの筋肉は、放射線照射により、成長が見込めない。そして今、実は上顎の親知らずが斜めに生えていることにより奥歯を押していて、これの治療をするには、放射線量により慎重な検討を要するというお荷物も残っている。
しかしながらともかく、この5年で生活が変化したことにより、新しい体験も色々でき、恐らく平均的な人よりもかなり贅沢なライフスタイルを送っているし、何よりパートナーと一緒にいることができている。どこかでそこから先を諦めねばならない事態にならずに済んだのは、本当にありがたい。
ありがたいといえば、パートナーの存在はもちろん感謝に堪えないのだが、周りの人々が気にかけてくれていたのもありがたかった。そして犬達。今は亡きプットニョスは自宅での療養の度にじっといつも寄り添ってくれていたし、ノアノアも生活の一部として重要なパートを担っている。
今、世の中は決していい状態とは言えない。世界情勢にしろ、日本の政治にしろ、反知性主義と知的水準低下やら、日本の衰退やら。それでも私的な生活を充実させることで、絶望せずにやって行けている。まだ日本では同性婚の法制化が実現されないなか、今年は同性婚訴訟の最高裁判断が大法廷でなされる(つまり憲法判断があるということだ)。この世の行く末をまだ見て行かねばならない。そしてパートナーの生きる糧とならねばならない。今回、一つ大きな節目を超えて、これからも生きてゆく。
