メシマズって?


最近(に始まったことではないが、)食べ物の話が多い。食は生活の基本であるばかりでなく、文化でもあり、社会的なスタンスも色濃く反映されることなので、当然といえば当然なのだが、じょにおは特に「食べ物には喜びがなければならない」と言う。因みに暴露してしまうと、じょにおが過去に付き合った人で、食事の面でデートが大変辛かった人がいたそうだ。それは、会う度に食事が食べ放題だったからだとか。食べ放題といっても、高級寿司食べ放題とか、いいホテルのケーキビュッフェとかではなく、ひたすらお得系、しかもクーポンが使える系の所ばかりだったらしい。
いや、お得系食べ放題が一概に悪いとは言わない。「毎回」ではなく、かつ歳若い人同士だったらお金もないだろうから、当事者2人が納得していればそういうことだって大有りだと思うが、じょにおにとっては「毎回毎回あれって辛かった…」と。そうだろうと思う。じょにおだったら2人分出しても別の店に行きそうなものだが、(笑)その人は、どうもそのお得感が食事に行く動機付けだったらしく、良質の物を食べるとか、デートの時間を大事にするとか、そういうことにはまったく重きを置かなかったらしい。そんな2人が長続きするかどうかといえば、もちろん言わずもがなな訳で。

で、世間的には家庭で一体どんな物が出されているのか、ネットを見ていて、ふと気になった言葉があった。「嫁のメシがまずい」というやつだ。どうやら掲示板系で人気の(?)トピックらしく、まあ大方、魚を焼き過ぎだとか、味噌汁が塩辛いとか、そんな程度のことなんだろうなと思って、そのトピックを整理しているブログを見てみたら……ものすごかった。世の中にそんなメチャクチャなことをしている人が、しかも大勢いるだなんて。本当に唖然としたり、中には吐き気を催したりするような事例がたくさんあって、あまり読んでいて気持ちのいいものではないので、リンクはしない。
「嫁のメシがまずい」については検索して見てもらうとして、どうやらメシマズ(というのだそうだ)は、いくつかに類型化できそうだ。大別して、

  1. 身体的な理由によるもの、
  2. 食生活の背景に問題があるもの、
  3. 自分でやろうとしたことが間違っているもの、

くらいに分けられる。順に見ていくと、
1. は味覚障害だったり、もともと正常だったのに脳腫瘍や認知症などの病気が原因で行動や判断がおかしくなったりしたもの。これは気の毒ではあるが、しょうがない。原因となっている疾病が治療可能であれば、治療によって改善(あるいは緩和)することもあるようだ。
2. は、親がメシマズでその料理はそういう味なのだと発達期に覚えてしまった、あるいは味覚の好みが形成される時の食生活がメチャクチャでいわゆる食育がなっていなくて、ジャンクフードの味をよしとするとか、デザートもご飯も一緒くたに食べることが習慣化していていたり、そもそも食にまったく興味がなく食が栄養分の補給以上の意味を持たない場合。これらも、1. に準じてしょうがないという他ない。それどころか、かえって疾病に起因するよりは矯正が難しいように思う。

そして3. だが、以下のとおり、これが一番厄介に思う。世のメシマズ嫁を持った不幸な男達が一番嘆いているのは、これだ。例を一般化して列挙すると、

  • ▼基本を知らない。料理法・食材の扱いなど(モノシラズといわれるらしい)
  • ▼衛生概念がない、または希薄
  • ▼どこかで見たレシピをうろ覚えでやった
  • ▼自己流で「アレンジ」した(これを「アレンジャー」とは言い得て妙 笑)
  • ▼何かの材料が足りなくて代用した(代用がきくものでないものを代用するので、特に「ダイヨウメシ」と書かれている)
  • ▼料理しているうちにどうしたらいいかよく分からなくなって、入れるべきでないものを次々投入
  • ▼計量や調理時間が間違っている(大さじをおたま1杯分と思っていた、素麺を30分茹でた等、カゲンシラズといわれるらしい)
  • ▼手順がごっちゃ(とりあえず全部ぶち込んでかき混ぜてから鍋へ、などの一気型や、同時並行で複数の料理ができなくなって混乱、など)
  • ▼合いそうもない物をむやみに投入する(訴えている旦那衆によると、ハーブ、フルーツ、甘味は鬼門のようだ)

等々。旦那はそれらの仕打ちに堪える日常で「社食がうまい」「ジャンクフード万歳」「コンビニ弁当ウマー」「嫁から『ごめんねー、今日は体調が良くなくてご飯作れないの』とメールがあった! 超ラッキー!」などと言っている。まずい衝撃度の単位は「マズニチュード」だそうだ。

そしてこれらはほとんどの場合、矯正が難しいようだ。指摘すると、やんわりであってもお願いしても逆切れされたり(泣く、騒ぐ、部屋にひきこもる、実家に帰る、他のことにかこつけて逆になじられる、精神的DV・モラハラだと言いがかりをつける、等。これをギャクギレーゼというそうだ)、意固地になって本や教室や親戚縁者から学習することを拒否するとか、旦那が嫁の実家に相談すると、当然そんな人間を育てた家のことだから逆に訴えた旦那が怒られる(家ごとメシマズだった例)、等。なかにはそれをきっかけに人間的に折り合わないことに気づき(それを料理がマズいのではなく嫁がマズいのだということで、ヨメマズというらしい)、離婚に至ることもあるようだ。

うちでそのメシマズについて話をしていたのだが、

俺:「やっぱ食事がおいしいってのは大事なんだよねえ?」
じょにお:「当たり前じゃないですか!」
俺:「じゃあ今度おいしいチョコレートとシャンパーニュ買」
じょ:「買いません! 料理の話じゃないでしょう?」
俺:「(ちっ、引っかからないか…)俺がもしメシマズだったらどうする?」
じょ:「大丈夫です、僕はそんな人に興味を持ちませんから(にっこり)」
俺:「そういえばじょにお作のパスタ食べてないよね」(うちは何故か洋食系はほぼ俺)
じょ:「これからもよろしくお願いしまーす」

ま、ともあれうちはメシウマでよかった。ところで、最近、「パーティーいつやるの?」というお声がけがあるそうで。そろそろ考えるかな。今度はどんなメニューにしよう?