働く時の品性 (Work Decency)


仕事をしていて、こんなストレスを感じるたことはないだろうか?

「何だかあの人と仕事で絡むと、いつもぎくしゃくする」
「どうでもいいようなことを突っ込んできたり、屁理屈をこねられて、仕事が進まない」
「コミュニケーションのたびに、いつもどこか不愉快な気分にさせられる」

仕事をする時には、なるべく情動の介入を避けられるなら避けて、スムーズに、協調的にやりたい。大抵の人がそう思っているが、なかにはそうでない人もいる。考え方や性質、性格の違いといった要因が複合的に影響して、望ましくない結果がもたらされるものだが、上記のようなストレスを生じさせる人には、仕事の仕方の能率だとか正確さだとかを求めても、決して状況は改善されない。何故なら、そういう人に決定的に欠けているものは、能力ではなく、自分自身の仕事に取り組む姿勢についての矜持であるからだ。

それを俺は、”Work Decency”と呼んでいる。Decencyとは、上品さとか良識といったものだ。例えばある程度以上の規模の企業に勤めている場合には、多様性の尊重だとかセクハラ防止だとかを含むCSR規定があると思うが、ああいうことは守って当然の、いわば法規の焼き直しにしかすぎない。あれと同時に、仕事をするうえで、どんな職場の規模であっても(一人の自由業であろうと)どんな人とする仕事であっても守らねばならないもの、それがWork Decencyだ。日本語でいうと、この日記の題名どおり、「働く時の品性」とでもいおうか。

具体的には、以下のようなことが、Work Decencyだ。

  1. 人に攻撃的な態度を取らない。
  2. 伝達されてきた事項に不備や曖昧があった場合には、得意げにならず、謙虚に聞く。
  3. 複数人が関係している仕事で誰かのミスがあってうまくいかなかった場合には、そのことは「誰々のせいでうまく行かない」というのではなく、「これこれのことがうまく行かなかったのは誰々のところで起こったが、その原因はどこどこにあった」という、原因の冷静な判断を行い、人が故意または重大な過失・懈怠によってそれを招いたのでない限り、人を責めない。
  4. 自分のところに回ってきた仕事で不分明なことがあったら、まず自力解決。そこでねじれた考えをして、「これがうまく行かないのは回してきたあいつのせいだ」としない。(3.に関連)
  5. 他人を自分の暇つぶしに利用しない。細々したことを重大ぶって人の足をひっぱろうとするのは、自分の仕事の能力のみならず、人間性への評価も貶めるものだと心得る。
  6. 「誰々さんが悪いことをしています」と挙げたところで、挙げた人の評価は上がらない。自分の評価を上げるのは、自分自身でことを進めた時のみと心得る。

仕事上での品性。相手にその品性がないと、ついこちらもそれに乗せられてやり返したくもなる。実際、こういった品性を持ち合わせていない人と多く関わらなかった職場を過去経験した時には、カッとなってやり返しもしたものだ。しかし、相手のそういうネガティブパワーに引きずられて自分もそれにはまってしまうのは、大変もったいないことだ。むかっ腹が立つ場合も少なくはないのだが、そういう時こそ品性を保って、そういう輩の所業は軽く受け流した方が、結局特をする。品性のない人を同じ方式でやり込めたところで、継続的に今後もその人と関わっていかねばならないなら、その人には「気づき」は訪れないし、従って自分のところに返ってくるレスポンスや、別個の出来事も、現状より決してよくはならないものなのだ。常に実行し続けるのは難しい状況だったとしても、Work Decencyは、心に留めておきたい。<>