転機と初回投与
注射薬(その時点ではデュピクセントという名を知らなかった)については、そこでそのままになり、数年が経過。それまでかかっていた医者は、薬は言えばほぼ何でも出してくれるが、抗アレルギー剤、ステロイド、プロトピック(アトピー性皮膚炎治療用免疫抑制剤)の3択程度であまり新しい療法について熱心でなく、週2日の予約制で遠い(車で片道1時間)ことから、家の近くに出来た皮膚科にかかりつけ医を変え、治療を定期的にしていた。定期通院も定着したところ、近所のその医者から今年の夏休み前にデュピクセント(後述)の案内を受けた。
おそらく、薬が出た当初では診断や投与の基準が厳しく、自己注射型もまだなかったので、こうなるまでには時間がかかったのだろう。なので、当初かかっていた医者の消極的な答えを責めるつもりはない。
さて、デュピクセントだが、痒み・炎症・バリア機能低下の原因となるサイトカイン(主に免疫細胞が作り出す生理活性蛋白質)であるIL-4とIL-13のはたらきを直接抑えることで効果を発揮するのだとか。適用だが、生後6か月以上でアトピー性皮膚炎と診断され、半年以上治療していれば投与でき、案内された注射は自宅でもできるペン型キットがある。初回はガイダンスと基準診察があり、注射法レッスンもある予定で時間がかかるので予約をと促され、渡されたパンフレットで概要を把握して、来院日を予約した。

投与にはスケジュールがある。まず初回は病院で2ショット。次に2週間空けてこれも病院で1ショット。さらに1週間空けたら自己注射できるペン型の注射器で薬を処方され、これも2週間置いて3ヶ月打つ。症状が落ち着けば4週間に1ショットずつ。半年ほどで症状が軽快すればやめられるらしい。
予約した初日、行くとガイダンスビデオ(上記写真のパンフレットと同内容)で内容を再度学習。確認事項ビデオで案内された内容理解のチェックを問診票に記入し、次に医師の診察があって症状をスコアリングする。これはEASIスコアといって、頭頸部、体幹、上肢、下肢の4部位別にそれぞれ、4項目(紅斑、浮腫/丘疹、搔破痕、苔癬化)の点数を4段階(なし、軽、中、重度)でつけ、6段階の面積スコアと合わせて計算式にあてはめるというもの。これにより保険適用が判断されるとか。
そしていよいよ投与だが、まずは注射器の模型で医師がやり方を見せる。次に自身が模型でシミュレート。そして本番。ペン型注射器を指定部位に押し当ててカチッという音とともに針が出(針は見えない)薬液が注入される。痛みはさほどでもない。注入を示すインジケーターが完全に下がったら、ゆっくり3つ数えて離す。

初回の2ショット投与を終えたら体調に異変がないかどうか、15分待って終了。医院での所要時間は合計30分強ほど。俺の場合は異変もなく終了。
初回効果
午後3時辺りに投与を受け、それから体調に注意を払ってみたのだが、今まで常にどこか痒いとか不快だとかでいじっているのが自分にとっての「普通」になってしまっていたので、「普通」というものがまずどの辺りなのかが分からない。それに、皮膚が良くなるにはターンオーバーを待たねばならないから、急激に良くなるとは思っていない。実際そのとおりで、次の瞬間から激変する訳ではなかった。やはり気づくと顔を触っていたり、頭皮を掻いていたりはした。
外用剤・内用剤ともにいつもどおり使用し、一晩寝た。寝ている間にどうにも我慢できなくて薬をつけに起きるということは、その夜はなかった。
翌日あらためて自分の調子を考えるに、触ったり掻いたりする頻度は明らかに低下してきたように思う。特に頭皮は、常にどこかかさぶたができてはそれを剥がすなどしていたのが、そうしなくなった。そして下手をするとステロイド挫創になりかねず、外用剤をつけても赤味が引いていなかった場所の赤味が引いた。
となると、ストレスがかなり減っているのに気づく。常に感じる体の違和といえば、皮膚だけでなく、中咽頭癌の手術によって生じた左首のつっぱり感もあって、体の不快感と同居しているなかで「健康とは何も感じないこと」と常々思っていたのだが、体に不愉快を感じないというのがこんなに生活の質を向上させるのかと驚嘆。しかも、投与翌日にそれを実感している。
(次ページへ)
