Glory (2016)
(★★★☆☆ 星3つ)
2013年リリースの前作”Britney Jean”は何となく食指が動かずスキップ。昨年はGiorgio Moroderのアルバム”Déjà Vu”にフィーチャーされ、やはりダンスチューンとこの人の声は相性が良いなと思ったものだ。
さて、そんな印象から聴き始めると、地味な音使いに多少がっかりする。声もコケティッシュな側面は引っ込んだようだ。ポップアルバムには違いがないのだろうが、どこか派手さが抜けた分、Britneyというキャラクターの輪郭が分かりにくくなった。
そんな訳で、一度聴いただけでは捉えどころのないイメージで終わってしまった。が、もう少し理解してみようと二度三度聴くにつれて、何となくイメージは好転した。かつての曲のリミックスに見られるようなダンスダンスしたエレクトリックな雰囲気や、最近のチャートを賑わせるようなおバカサウンドに振らなかったのは正解とも思える。より本質を追求した音に深化したとも言える。
しかしそれでもどこか物寂しさを感じてしまう。Jessie J, Ariana Grande, Nicki Minajの”Bang Bang”を意識したかのような多少元気のいい曲はあるのだが、それも華々しさからは一歩引いたスタイルで、何か良さを活かしきれていない不完全燃焼を感じるというか。ポップアーティストのありようとは、キャリアが長くなればなるほど、難しいものだ。(2016/9/6 記)
Femme Fatale (2011)
(★★★★☆ 星4つ)
数々のゴシップ的騒動を経て、落ち着いてきたBritney Spearsのアルバムは、音もまとまりが良くていいのではないかと思う。流行りにのってこその人ゆえ、エレクトロハウスサウンド等、トレンドにはしっかり乗っかっているが、一聴してBritney Spearsと分かるキャラクターは健在。ひょっとしたら今までやってきたことよりも、これが一番いいのかもしれない。
ポップシーンのみならず、クラブシーンでも重宝されてきたBritney Spearsだが、今回も先行シングル含め色々なリミックスが出ている。が、DJミックス作りに使うのならともかく、曲としてはこのアルバム1枚を聴けば十分な気もする。それほどまとまりのよいアルバムということだ。