音楽レビュー Stokley


Introducing Stokley (2017)


(★★★★☆ 星4つ)



伸びやかな声、爽やかな音。どこかで聴いたような、と思ったらMint ConditionのリードシンガーStokley Williamsその人だった。そういえばMaysaの2015年のアルバムでソロアーティストとしてデュエットを披露していたし、ソロ活動を始める機運は高まっていたのだろう。

正直言うと、自分の中でのMint Conditionの印象は、少々薄かった。折に触れて耳にしてはいて、かかっていると「お、誰これ?」と注意を引きつけられていたにも関わらず。それはあまりにも彼らの音楽が正統派でスムーズだったせいかもしれない。そんなMint Conditionのリードシンガーだから、このアルバムでもそうした傾向は顕著。耳馴染みがよく、心地よい声、安定のボーカルと、文句のつけようがない。が、それはMint Conditionとしてでなくソロとして出した意味はどうなんだろうか、との疑問も持たせる。

しかし、Stokleyの経歴を見ると、ボーカリストとしての活躍もさることながら、R&B/ソウルの名曲の数々にセッションミュージシャンとしても参加していて、気付かずに彼の音を聴いてきたのだと思い知る。つまり、そんな活躍の幅の広い人だから、自分はその音楽を汎用的なものとして聴いてきたのであって、それは個性が薄いということではないのだ。

いずれにしろ、上質な音楽で、一聴の価値あり。長いキャリアの新たなステージとして歓迎したい。(2018/1/21 記)