音楽レビュー James Day Songs


Song, Soul & Spirit (2017)


(★★★★★ 星5つ)




前作に続き、また豪華な名アーティストによるボーカルが堪能できる。Elisabeth Withersは久しぶりながら張りのある声は健在。Gordon Chambersは正統派のバラードでPaula Coleと素晴らしい絡みを聴かせる。知る人ぞ知る名ボーカリストのSandra St. Victorがこれまたいい味。90年代R&B/ソウルファンなら泣く子も黙るCheryl “Pepsii” Rileyまでフィーチャーされている。

そうした豪華な布陣を敷いて、ではJames Day Songs本人の歌はどうなのかというと、ちゃんとソロボーカルを取った曲も入っていて、しっとりした安定の歌声を聴かせる。大変才能に溢れた人で、しかも音楽をどれも品よく美しく仕上げているのが良い。R&Bソングライティングの骨子とは何かをあらためて認識させてくれる良いアルバム。(2017/9/17 記)

Repertoire (2016)


(★★★★★ 星5つ)



Repertoire(レパートリー)と名付けられたこのアルバムは、豪華なアーティスト達をゲストに迎え、様々なグルーヴの音楽を楽しませてくれる。まず冒頭からMaysaが歌うのが耳を奪うが、同じMaysaを長年ゲストボーカルに迎えているIncognitoとは全く違う音楽。そして続く”Don’t Waste The Pretty”では軽妙なフィリーソウルを思わせるアレンジで、懐かしのGlenn Jonesがボーカルを。続いてすぐに悲恋のバラードで空気は一変するが、それを歌い上げるのはコアなR&B/ソウルファンなら”Inside My Love”や”Same Girl”といった名盤が記憶に残っているであろうTrina Broussard。そして5曲目~7曲目にフィーチャーされているAudrey Wheelerとは、何とあのWill Downingの妻。

ほう、とため息が出るような美しいコンビネーションは僅か8曲。ミニアルバムといった風情なのだが、この濃密な世界は逃す手はない。いや、別にアマゾンやiTunesのアフィリエイトを売りたくて言っているのではなく(元から期待していない)、個人的に興奮しながら楽しんでしまったのだ。

さて、このJames Day Songs、ソングライターとしてキャリアを積んだ人で、この豪華な布陣もそのキャリアから来ている模様。「レパートリー」と題するだけあって、バリエーション豊かなそれぞれの曲に安定した力を発揮し、美しいメロディーラインと色褪せないアレンジを聞かせてくれる。今後も是非アルバムを出していってほしいものだ。これはR&B/ソウルの良心といってもいいアルバム。(2016/7/27 記)