音楽レビュー D’atra Hicks


Finally My Time (2007)


(★★☆☆☆ 星2つ)

D’atra Hicksはミュージカル出身。”Mama, I Want To Sing”で主役を務めたことから出た人だ。”Mama, I Want To Sing”の主役が他の人に決まりそうなとき、プロデューサーを捕まえて、「私の方がうまく歌える」とその場で歌ってみせたという逸話も納得がいきそうな感じの人。
デビューアルバム”D’atra Hicks”は 圧倒的な歌唱力はアルバム第1曲目の歌いだしからして印象的。どの曲もクオリティが高いのだが、それ以降アルバムが出ず、これもいわゆる一発屋だったのか、と思っていたら、なんと18年ぶりにアルバムを出した。その名も、”Finally My Time”。

これは聴いてみなければと思って、早速聴いてみた。が、18年という年月は残酷なもの、というべきか。アメリカでのレビューを見てみると概ね好意的だが、 それは聴いた人達がD’atraのファンだったからという贔屓目が多いように思う。
アルバム前半はいい滑り出しで楽しめたのだが、中盤唐突に現れる、本人のイントロのMCが入った「ゴスペル」が、曲もボーカルエフェクトもひどい。何でそんな曲を入れてしまったのだろう、という感じ。続いての曲でも D’atraが延々しゃべるのがあるのだが、その内容が私情に流れすぎ、しかも演技がクサすぎて、どうにもいただけない。続いてのハウスらしき曲は、ダサさが笑えないレベル。というわけで、iTunes Music Storeでアルバムで購入したが、サンプルを一曲一曲聴いてから、いい曲だけ買うべきだった、と後悔している。