映画レビュー あしたのパスタはアルデンテ (Mine Vaganti)


(★★★★☆ 星4つ)

イタリア映画で、原題は”Mine Vaganti”。英語でいうと”Loose Cannons”、縄で縛られていた大砲の縄が緩み、いつ爆発するかわからない予測不能の状態、という意味。これが複数形になっているがミソなのだが、それは観ると分かる。

主人公はファミリー経営のパスタ会社の次男。南イタリアの、噂話はすぐ街に広まる因習的な土地で、ゲイであることを隠していたが、家業の継承はせず小説家になるといよいよ当主の父親に宣言しようとする。が、いよいよ言うという段になって予想外の展開があり…と、物語はテンポよく進む。

いかにも南イタリアらしい色彩と美的感覚の映像も楽しめ、全体の筋運びは最後が楽天的過ぎるかとも思われつつもハッピーエンディングで、その辺りもイタリアらしい。家族の絆の良くも悪くも濃密なところ、マンマが強いところ、情熱的な人々の言動、真面目にやればやるほどどこかおかしみを感じさせるところなどは、日本人がイタリアと聞いて思い浮かべるものそのまま。それでもちゃんと練られているところは練られており、家業を継ぐ境遇にある兄弟の抑圧と確執なども織り交ぜて、飽きさせない。

カミングアウトを巡る重たい映画というよりは、比較的楽な気持ちで楽しめる一本。(2017/6/15 記)

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