映画レビュー Ang Lalaki Sa Parola (The Man In The Lighthouse)


(★★★★☆ 星4つ)
(★★★★☆ 星4つ)

フィリピンのゲイ映画。2007年に公開されたもので、2010年9月現在、日本版は出ていない模様。言語はタガログ語で、英語字幕で観た。

ストーリーは古典的で分かりやすい。灯台守の若くハンサムな主人公Mateoと、そこを休暇で訪れた広告代理店勤務の裕福な青年Jerome(「ヤンエグ」という死語がぴったりくる)が恋に落ちる。Mateoには3年付き合ってきた彼女がいるが、自分のゲイ性を受け入れられずにいたところ、Jeromeに自分のゲイ性をひらかれて、マニラで暮らすJeromeを訪れるが……というストーリー。

この物語を引っ張り続けるエンジンは、主役のMateoを演じるHarry Laurelのセクシーさにつきる。そして、濡れ場もちゃんと期待通りあり、フィリピン映画はちゃんと見たい所、そこにあるべき物はちゃんと写す(ポルノでないのであくまで上品だが)。こういう映画を観ると、日本の雰囲気だけで売っている俳優やアジアスターより、フィリピンの俳優はよほど根性が座っているなと思う。

そういえば、こういう分かりやすいセクシーさで惹きつけるスターらしい俳優が出てきて、分かりやすい恋物語が展開する世界は、いつの間にか失われて久しく触れていなかった。観ていて、シンプルに切ない気分にひたることができる。普遍的なテーマが正面から描かれたものとして、観ていて人が人を愛することの原点を確かめることが重要であるのだと、再認識させられた気分だ。そして、日本にいると文化的に欲しいものが案外手に入らず、見逃している物もたくさんあるだろうなと思った。