（★★★★★ 星5つ）
忙しい日々が続いていて、たまの気分転換にと、パートナーと食事で訪れた。ファインダイニング、殊にモダンフレンチでは、かなり頭を使うし、シェフとの真剣勝負であったりもするので、何も考えずただひたすらおいしい物を食べたい時には、鉄板焼はいい選択肢。これはもちろん鉄板焼のことを下に見ているのではなく、純粋な食の喜びをストレートに感じられる、という意味。
今回訪れた店は、前に銀座で鉄板焼を堪能した銀座うかい亭の姉妹店。場所は六本木ヒルズのけやき坂。銀座うかい亭は店内もゴージャスだったので、こちらも豪華な設えを期待して。
六本木店は、この鉄板焼と、隣にある割烹うかい亭との2店が隣り合っていて、洗面所は中で繋がっている。表からは店内の様子はほとんど窺われない作りで、高級店然とした店構え。特に個室を予約したのではなかったが、案内されたのは、4人使用の個室。朱赤の大きな漆塗りのテーブルが鉄板を囲む作り。排煙フードは叩き仕上げの銅板で、これまたゴージャス。
今回はコースのみを予約しておいて、飲み物は入店してから選ぼうと思っていたところ、シャンパーニュ、白、赤の3杯を合わせられるペアリングコースがあり、それを頼んだ。値段は内容にしてはかなりリーズナブル。そうたくさん飲める方ではないので、3杯も付いていれば十二分。
まず料理が出される前に、食材のプレゼンテーションがある。季節を考えたあしらいに、キャビア、鮑等がきれいに並んでおり、期待感を高めてくれる。
乾杯のシャンパーニュは、バロン・ド・ロスチャイルド。前菜はまず鉄板仕上げではなく、個別のプレートで。そば粉のガレットにサーモンが乗せられてき、各自が巻いて食べる趣向。相前後して、今回の鉄板担当料理人が準備とともに現れ、調理していく。ちなみに主任さんであった。コースの選択にもよるのだが、今回は冒頭に記した趣旨の食事ゆえ、食材が豪華。キャビア、フォアグラ、鮑、そしてうかい極上牛サーロイン＆フィレ（食べ比べ）と、満足の内容。鮑は大ぶりで、生簀からの直出し、活きが良かった。
サービスはもちろんそつがなく、ペース・会話ともスムーズ。鉄板料理の主任はやや寡黙なタイプだが、会食等でも使用されるシチュエーションの店なので、出すぎず控えめを心得ておられたのだろう。要所要所の説明は過不足がなく、名刺もいただいて、笑顔も見せてくれたところが好印象だった。
デザートは、銀座うかい亭同様、ラウンジの別空間に移動し、ヒルズのけやき坂を眺める席で。ラウンジのしつらえも豪華。銀座がクラシックでシックな店内だったのに比べ、こちらはダイナミックな意匠のライトがあるなど、銀座よりもややモダンな印象だった。
総体的に、とても満足。いい食事といい時間を得られた。
（2025/10/9 記）
