(★★★★★ 星5つ)
川松は東京の郊外に店を構える鰻と会席料理の老舗。宮内庁御用達で、2010年には秋篠宮さまもご来店になったとか。
とかくこういう店は、新奇な趣向よりも、出すぎず・そつがなく・期待されたものを期待されたとおりに出す、ということが求められる。その点、川松はとても安定している。そして、徹底して店側の主張は控えめ。鰻も葵・桐・藤・竹の4種だが、メニューに説明はなく、値段の違いと、葵に肝吸いがつくことのみの表記。葵は吟撰の鰻を小一時間ほどかけてじっくり仕上げる。
ふぐ料理、鴨鍋などの季節の料理や会席もやっているので、ふぐの白子ポン酢、ふぐの唐揚げをつまみつつ待つ。そちらも極そつがない。肝心の鰻はふっくらやわらかで、おおぶり。お重で出てきて、ご飯は上品な量だが、鰻がとても上物でボリュームがあるので、分量的にも文句なし。店の格を誇示するでもなく、安定した仕事のこうした店は、とても重宝する。(2014/11/10 記)