アルシミスト農園より"玉ねぎ"。スペシャリテ。自家栽培の玉ねぎがメイン。下には雲丹が忍ばせてある。

飲食店レビュー Alchimiste(フランス料理 港区白金台5丁目)


(★★★★☆ 星4つ)

Alchimiste(アルシミスト)はモダンフレンチの店。「料理を“錬金術”と捉え素材と向き合いながら皿の上で新たな表現を探求し」ているとのこと。2026年現在ミシュラン1つ星。パートナーとの暑気払いでディナーに赴いた。

レストランは白金台の交差点から1本入った所にある。近くにはRequinquerGentil H等があり、こんなに名レストランが近所なのも珍しい。Alchimisteは入口に屋号を示しておらず、入ると控えめなロゴがある。オープンキッチンを擁するメインダイニングスペースは2階。抜けのよい天井高のある空間はシンプル。

ディナーはお任せコース一択。3時間のディナーでは、品数も多く、当然数多くの食材と技法が用いられていて、バリエーション豊か。アルシミスト(錬金術師)を名乗るだけあり、コンポジションの複雑な料理は見ても味わっても飽きない。まごう方なきモダンフレンチだが、それを実現できるのは、もちろん基本的な技量の確かさがあるがゆえ。自家製パンも味わい深く、最後のミニャルディーズまで含めて手抜かりなし。

サーブのテンポもよい。ただし、この日だけだったのか、ソムリエ不在。例によってコースを通じてシャンパーニュを飲むべく、リストを眺めてこの日の料理に合うだろうかと、Marguet Verzenay Grand Cru 2018 Brut Natureにするか、Bouzyにするか迷って相談したかったのだが、サーブ係はワインに詳しくなく、明確な返答が得られかった。そこで、オンリストということは合わなくはなかろうと、前者を選択し、結果OKだったが、その辺は食に拘る店であれば、料理に関するコミュニケーションを楽しむという点も含めて話をしたかったところ。

その他、外国人と思われる女性をフロアスタッフに採用しているのは意欲的でとてもいいのだが、声が小さく、また通の食事の場に求めたいコミュニケーションを取るにはこちらも能力がいま一歩。昔であれば1つ星の店でそれでもよかったのだろうが、今は各店しのぎを削っている様相で、他の1つ星店ではもっとプロフェッショナルな所もたくさんあることを考えると、コミュニケーションに不安を感じるのはあまり満足が行くものではなかった。もう少し料理や素材について突っ込んだことを聞きたかったのだが、聞けず、残念。

そんな少々の不満点はあったものの、全般に料理は興味深かった。日本の食材をフランスの技法で、という今はよくあるコンセプトでも、独自の料理の造形でキャラクターがあり、構造の面白さが特徴立っていて、ファンも多いのだろうと思われる。行ってみる価値がある。

(2026/7/21 記)