(★★★★☆ 星4つ)
Antica Osteria Del Ponte(アンティカ・オステリア・デル・ポンテ)は、ミラノ郊外の名店。東京にあるのは海外唯一の支店。ファインダイニングではフランス料理店を選びがち、イタリアンは久しぶりだ。今回は暑気払いとのことでパートナーと訪れた。メニューグルマン ディナーコースを予約しておいた。格式ある店ということで、ディナーでは男性はジャケット着用、くるぶしの出る丈のスボンはNGというドレスコード。おしゃれして行くのがよいようだ。
丸ビルの36階にあり、眺望が開けている。店は東京駅側を望んでいるので、八重洲側のビル群や、遠くにスカイツリーが見えるロケーション。店の内装はおそらくイタリアから取り寄せたと思われる建材や調度品が使われており、クラシックな面持ちながらも、開放感があるせいか、モダンな趣もある。
スタートも一杯目の乾杯の提供もスムーズ。イタリアンレストランではあるが、乾杯用にはシャンパーニュもリストされている。この日はポメリーロワイヤルブリュットのグラスを選択。値付けはやや高め。場所柄そんなものだろう。
コースの進行もスムーズ。フロア係は多く、複数のソムリエがいる。タイミングに応じて異なる人がサーブする。料理の説明はそつがなく、今回突っ込んだ質問はしなかったが、もししてもきちんと答えられたことだろう。
料理に合わせたワインのペアリングコースをオーダーした。ソムリエはイタリアンワインのスペシャリストといった趣き。知識をきちんと蓄え、そして自分のものにしている感じで、ワインについての説明も、ワインに詳しくない人向けの導入もあれば、より深く知りたい向きにも対応できる。気も利いていて、飲んだワインが気に入って覚えておきたいなあと思っていると、ボトルを再度持ってきて写真を撮らせてくれたり、バイ・ザ・グラスで提供のところ、デザートワインは「残り少しとなっているので」とボトルごと提供してくれたり。
料理は基本クラシックをベースとしながらも、意欲的な凝った手法を採り入れている。皿や盛り付けはモダンフレンチに比べるとそう野心的ではない。
料理は舌馴染みが良いが、退屈ではない。下ごしらえにも仕上げにも丁寧なプロの仕事を感じる。食材が豪華かというと、極めて豪華という感じはしないし、場所(丸ビルの36階という超一等地)、雰囲気総合しての値段、という感じ。ただし今回はプロモーションメニューで、ほぼ半額だったので、プロパーで払えばそんな感想も抱くかなとは思ったものの、個人的体験としては大変お得だった。
若いドリンクをサーブする係がややがさつなのが少し気になった。水のボトルは水平より下に傾けるべきではない。勢いよくガス入りミネラルウォーターを注いだ後、俺の側に置かれたメニューカードにポタポタ水滴を垂らして行った。ホスピタリティが売りの店ならば、もう少し習熟してから出てきてほしいものだとは思った。
しかし全般には味も雰囲気もとてもよい。あちこちのテーブルでお祝いがあったが、そうしたプレゼンテーションも上手そうだった。ロケーション的にもこのレストランで食事となれば、喜ばれるだろう。
(2025/7/1 記)