シャンパーニュレビュー Pierre Gerbais Cuvée de Reserve Brut


小さな造り手には個性が光る所が多い。そして、知られていないがために値段は手頃でも、それより高価格のグランメゾンに比肩し得るクオリティーを持っているものも見いだされる。それが色々なシャンパーニュを試して自分ならではのお気に入りを見つける楽しみの一つ。今回のこれは、気に入りとして覚えておいて、見つけたらまた買っておきたい1本。

Pierre Gerbais Cuvée de Reserve Brut
Pierre Gerbais Cuvée de Reserve Brut

Pierre Gerbais Cuvée de Reserve Brut(ピエール・ジェルベ キュヴェ・ド・レゼルブ・ブリュット)はオーブ県のコート・デ・バールにあるメゾンPierre Gerbaisのスタンダードキュヴェ。コート・デ・バールはピノ・ノワールで有名で、うちで普段使いとして愛飲しているDrappierもここに位置するメゾン。しかしPierre Gerbaisはネゴシアン・マニピュランであるDrappierに比べるとずっと小規模。

Pierre Gerbais Cuvée de Reserve Brutはスタンダード・キュヴェとはいっても、他にはブリュット・ナチュールと、ピノ・ブラン100%の実験的な2000年のミレジメ(単一作年のビンテージ)と、コトー・シャンプノワ(赤ワイン)しか出ていないから、実質Cuvée de ReserveはPierre Gerbaisにおける主力といってよい。

ピノ・ブランについて「実験的」といったが、通常シャンパーニュに使われるのはピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネのみ。しかし以下5つの古代種も使用が認められている。その5つはアルバンヌ、アンフュメ、フロモントー、プティメリエ、そしてピノ・ブランで、このCuvée de Reserveはピノ・ノワール5割、シャルドネ2割5分に、残り2割5分としてピノ・ブランが使われているのが特徴的。
その昔、オーブ県がシャンパーニュ地方に入るかどうかという時、シャンパーニュに入るならピノ・ノワールを植えろという話もあったらしい。そしてそれに抗してピノ・ブランを守ったのがPierre Gerbaisだというエピソードもあるらしく、ピノ・ブランを入れるのは、個性の演出のみならず、実はそんな歴史的背景もあるようだ。

シックでシンプルなエチケット。
シックでシンプルなエチケット。

開栓すると華やかな香り。白ワインを思わせる華やかさを持っている。そしてどこかに草の緑を感じるのがピノ・ブランらしさ。

色は淡い。ほんのわずかオレンジ色のニュアンスを持っているのはピノ・ノワールか。

色は淡いが香りは華やか。
色は淡いが香りは華やか。

酸はきりっとしているが尖ってはいない。ドサージュ(澱抜き後のリキュールによる補糖)は7~8g/lとのことだが、これもちょうどよい感じ。開栓後しばらくすると、蜂蜜やブリオッシュの香りなどが、果実味と共に花開いてくる。品を保っていて飲み飽きず、とても好印象。こうした1本に出会うと、レコルタン・マニピュランのシャンパーニュ探しは面白いなあと思える。