シャンパーニュレビュー Louis Roederer Collection 242, 243 & 244


ルイ・ロデレールは本気だ、と思う。まだメジャーなメゾンは自然農法に傾倒していなかった時点で自然農法に切り替えたのが確か2000年代後半。その頃から本気は感じられたが、メゾンの持つラインナップ全てを次段階に引き上げようとしている、とスタンダードキュヴェの変化を見て感じた。今回はそんなスタンダードキュヴェを採り上げて飲んでみての感想。

以前、ルイロデレールのスタンダードキュヴェはプルミエ・ブリュットといった。もちろん上質ではあるのだが、特に傑出した造りのものではないイメージだった。何回か飲んでいるが、特に採り上げてレビューを書いたことはなく、記憶にあるところでは、宮古島のホテルの朝食でフリーフローで供されていた

スタンダードではミレジメと違い、いつ飲んでもそのメゾンの味という安定を求められるため、アッサンブラージュは複雑で、それを年毎に明らかにすることはあまりない。しかし、ルイ・ロデレールはスタンダードをコレクションと改め、年毎に違えるアッサンブラージュの内容を詳しくテクニカルシートで公表して、年毎のスタンダードの違いを明らかにし、シャンパーニュ好きに対してより訴えかける手法に出た。これは面白い、と、今回アッサンブラージュの異なるコレクションを3本手に入れた。何回目のアッサンブラージュなのかを名にしていて、それぞれ242、243、244だ。

テクニカルシートには241も記載されているが、非売品だったらしい241は入手できず。
242〜4の3種それぞれの違いを表にしてみた。

コレクション242243244
主たるビンテージ2017 56%2018 59%2019 54%
パーペチュアル・リザーヴ34%31%36%
大樽熟成のリザーヴワイン10%10%10%
ピノノワール42%42%41%
シャルドネ36%40%33%
ピノムニエ22%18%26%
マロラクティック発酵34%26%35%
ドサージュ8g/ℓ8g/ℓ7g/ℓ
パーペチュアルリザーヴとは、いつも定量リザーヴされているベースワインで、これら3種の場合、2012年以降順次継ぎ足されていくものだとか。大樽熟成はそのキュヴェのために醸されたワイン。
では順番に飲んでみた感想を。

Collection 242

Louis Roederer Collection 242
Louis Roederer Collection 242

ビタミンBでも入っているのかと思えるくらいのはっきりとしたゴールドカラーで、注いだ泡は厚い。柑橘やピーチ、はちみつ等の香りで華やか。ドサージュが8g/ℓとのことだが、エクストラ・ブリュットに接することの多い今では甘く感じる。しかし、パーティーなどで供されることも多いだろうスタンダードキュヴェでは、一口飲んで素直においしいと思えることも大事なのだろう。Brut Premierよりは洗練されていて、口当たりは丸められた感じがする。

Collection 243

Louis Roederer Collection 243。ボトル単体では写真失念
Louis Roederer Collection 243。ボトル単体では写真失念

242との違いはあるのだろうかと思ったら、見事に違った。色は淡めのゴールド。シャルドネの比率が242より高いからか。香りは相変わらず華やかだが、飲み口は異なり、格段に洗練されていて、後口もすっきりしておりドサージュが242と同じとは思えない。食事との相性は幅広く許容する感じで、そこは色々なシチュエーションで飲まれるだろうこのキュヴェのあり方として正解。香りの変化は幅広く、最後の方では深い香りでWilliam Deutzのような香り。この価格帯でこれはすごい。

Collection 244

Louis Roederer Collection 244
Louis Roederer Collection 244

244が一番スタンダードとしてバランスの取れた優等生だと思う。エレガントさやフィネスはありつつ、一口目ですぐおいしいと感じられる果実味や香り(これはピノムニエがこの中では一番比率が高いことによるものだろう)、万人受けやフードペアリングの幅広さなどを備えている。

ある種のチーズとは少し喧嘩したが、大体においては嫌わない。
ある種のチーズとは少し喧嘩したが、大体においては嫌わない。

Moët & Chandon Impérial Brutのような感じだ。色は243のように淡い。最後まで品を保っているのはさすがLR。