映画レビュー カラヴァッジオ (Caravaggio)



(★★★☆☆ 星3つ)

難しかった。16世紀後半~17世紀にまたがり実在した画家カラヴァッジョ(画家名ではこう表記されるのが一般的らしい)が死に瀕して自分の一生を思い浮かべ…という映画なのだが、そもそもの素材に取られた画家カラヴァッジョが破天荒な人生を送っていたことの予習なしでは理解に苦しむ。

デレク・ジャーマンの作品だから相当に陰鬱でアバンギャルドだろうなとは予感していたが、演出したいようにするという突き放し加減や、時代が舞台となっているはずの16世紀後半~17世紀はじめを飛び越えて交錯し、突然タイプライターを打っていたり自動車をバックにしていたりするシーンが出てきたりして、これならいっそデビッド・クローネンバーグの『裸のランチ』の映像コラージュを観ていた方が楽なのではないかと思わせる。
86年の作品ということで、これもあのアバンギャルドだった時代のゆえ成り立ち得た作品か。