癌再発の治療記録2021 3/7週目


2021/2/15 月 総合15日目 通院・全3週目

放射線治療9回目

朝から本降り。今日はCTを受けるので、昼食は抜きとの指示だったが、念のため朝食も食べないでおく。朝、体温を計ると平熱で、微熱でさえないのにホッとする。口の渇きがやや多く、こまめに水分を口に含む。

放射線治療後、CT検査。帰宅してパートナーじょにお作の餃子を食べる。これが一食目にして今日最後の食事。旨かった。食後にいちご。いちごは治療前と変わらぬ味として感じられて、果物の中でも特に旨い。この後だるさを感じ、発熱37.2℃。特にだるく、若干頭も痛かったので、解熱剤を飲んで10時前には床に就いた。

2021/2/16 火 総合16日目 通院・全3週目

放射線治療10回目

朝体温37.0℃。あまりに陽に当たっていないので、7、8分陽に当たる。朝食後、眩暈のようなフワフワ感と、喉の奥が引き攣れるような感覚で気持ちが悪く、制吐剤として最初に処方されたノバミンを服用。ノバミンが効かず出されたオランザピンの方がいいかとも思ったが、オランザピンは残り一錠なので、もっと気持ちが悪くなった時のために持っておきたい。

ノバミン服用後は気持ち悪さも治まり、動ける様子だったので、犬達の散歩に行く。午後は放射線治療。帰宅後も、下痢気味なのを除けばさしたる不調なし。

2021/2/17 水 総合17日目 通院・全3週目

放射線治療11回目

朝相変わらず腹を下しているので、処方された整腸剤、止瀉薬の他、正露丸も服用。熱はほぼ平熱。

午後、放射線治療後、診療。一昨日撮ったCTは、それを元に照射部位などを計算して、数日後には変更されるんだとか。照射回数をどうするかは、後日予定されているPET/CTを元に決定され、回数が減る場合は、33回、30回という場合もあるらしい。

腹を下していることを告げて、今までの止瀉薬と整腸剤の他、試しで漢方薬を出してもらった。

夜、食欲はあったので、じょにおとラーメンを食べた。が、結果はイマイチ。出汁等の旨味を感じにくいことは前に記したが、ラーメンなんかも旨味は肝のようで、全くもって美味しさが感じられなかった。にんにくが効いたタイプだったので、パスタ同様食べられるかと思ったのだが。因みに、前日にはトマト味のスープパスタを食べて、やはり美味しさが感じられなかった。

この、食味の感覚限定は結構ストレスなのだが、何せこの期間はしょうがない。じょにおは「おいしく食べられる物を食べましょう」と言う。そうする他あるまい。

2021/2/18 木 総合18日目 通院・全3週目

放射線治療12回目

口の中がやや粘る感じ。悪心を起こして吐いたら、少し血が混じっていた。昼食を摂る時、喉の左奥にやや引っ掛かりを感じた。嚥下困難を生じるとは聞いていたが、いよいよか。

午後は放射線治療と採血。もう何のための採血だか聞くのも面倒なので、明日寝室がある時についでに聞くことにする。放射線治療は何事もなく終了。この間のCT検査の結果を元に、照射方法が変わり、明日位置決め等々するとか。

夜、じょにお母作の中華粥を食べる。干し貝柱たっぷりなのだが、残念ながら今の舌では旨味を感じられず、しかし一緒に入っていた干し海老風味で食べられた。その他、わけぎのヌタと茄子味噌もいただき、おいしく食べられた。嚥下にも困難はなし。しかし、自分で作った生姜焼きは、醤油や酒の下味が全く感じられず、肉も旨くなく、ただ生姜で喉がスースーするだけの食べ物だった。味付けは今まで通りにやったはずで、じょにおに聞くと、いつも通り旨いとのこと。

フルーツは一般に味わえる。せとかオレンジはおいしい。いちごも。パイナップルはやや味が薄く感じる。バナナを試していないが、試してみようと思う。

夜、寝る前に首を見たら、左側が赤くなっていた。表面は元から手術後は皮膚感覚がないので、副作用でよく言われるヒリヒリとかチリチリする感覚は感じられないが、副腎皮質ホルモン剤を塗っておく。喉の奥の引き攣れをやや強く感じる。

2021/2/19 金 総合19日目 通院・全3週目

放射線治療13回目

朝食を食べて思うに、舌が一層鈍ったような気がする。が、これからまだ過酷なことや、先が長いことなどについていちいち憂えずに、とにかくこの期間は「今こうならこれをやり過ごす」スタンスで行くようにする。犬達が手本だ。犬達は先々のことをたとえ告げられても理解しない。が、その時その時を生きていて、その生き方に(少なくともうちの犬達は)満足している。俺はこれから治療が終わってしばらくするまで、「犬方式」で生きることにする。

ところで、放射線の影響が髭に出てきた。特に強く照射してる左側の髭が薄くなっている。前は全部繋がっていた部分。特に髭に思い入れがある訳ではないが、こうして影響が出てくるのだなというのを目の当たりにした。

今日は放射線治療の後、放射線科の診察あり。経過は順調、各部位小さくなっていて、触診でも不明瞭なほどになったと。来週からまた、抗がん剤で一番危惧される腎不全については、ちゃんと腎臓の値も戻っているので、治療続行は問題なく予定通りと。その後の歯科でも抜歯後の箇所は肉が上がってきて順調とのこと。

夜には鰻丼を食す。醤油の風味はあまり感じられないのだが、鰻の脂は旨味の感覚を補完してくれる。甘味はまずまず感じられるので、鰻丼はあり。食後のフルーツヨーグルトもおいしかった。

しかし、味覚が鈍くなり一部が失われた状態になると、今までの自分の悦楽が、如何に食欲に頼っていたのかということを思い知る。この先、もし味覚が戻らなかったら。諦める他ないだろうが、もっと知的な楽しみを膨らませる等、違う方面に興味を差し向けてゆく必要が生じるだろう。

2021/2/20 土 総合20日目 通院・全3週目

放射線治療なし

この土日は次週の入院による抗がん剤投与に備えての体力を蓄える日と思っている。じょにおは出張中。幸い、体調は比較的いい。発熱もない。朝、犬達の世話をしてから二度寝。自転車に乗って美しい街並みを駆ける和やかな夢を見て昼前に起き、昼間にはじょにおが作り置いてくれた餃子を食べる。

午後は体調まずまず、犬達の散歩にも行けた。4時頃1時間ほど午睡。味覚が制限される中、ソース味はどうかと、夜シーフードでソース焼きそばを作ってみるが、全体に味がぼやけて感じられ、積極的に食べたい感じではなかった。特にイカはゴムのよう。主食系の物や、メインのおかずの味があまり感じられないのはきつい。ただ、フルーツがそのままの味で食べられるのは救い。元々フルーツ好きなので。

2021/2/21 日 総合21日目 通院・全3週目

放射線治療なし

体調はさほど悪くない。ただ、あまり積極的に動く気分にもなれない。味覚はどんどん鈍くなってきている。昼食にシーフードパスタを作ったのだが、味のしない物を無理に詰め込んだ感じだった。

酸味と甘味以外は、苦味・辛味は多少あるにせよ、ほとんどダメだ。実は旨味は食の楽しみの多くを担っている要素なのだなと再認識する。肉や魚介の旨味、出汁、スープの風味等々。パンや麺でさえそこにある風味は旨味に拠るところが大きい。香りは正常に感じられるものの、舌が鈍くなると、必然感じられないものを求めたいと思えなくなり、食事の量は減りがちになる。

今日は温かく、気温も20℃を超えよく晴れていて、犬達の散歩も小一時間ほどした。幸い、歩ける体調でもあったので。明日から入院するとほとんどベッドに張り付きだ。

夕方、バナナフランベを作ってみる。酸味が優って感じられただけで、あまりおいしくなかった。上記で「甘味以外は」と書いたが、急速に甘味もあまり感じられなくなってきたようだ。食への興味は今まで大きく、単なる栄養補給ではなく趣味であり文化であると捉えていたこの身にとって、この変化には、心がついていきにくい。困惑している。

夜、ストレスで弱っているのか、右目がものもらいに。起きた時から目尻を擦ってしまったかなと思っていたのが酷くなった。しかし今抗生物質を飲み始めると、明日からの投薬スケジュールに影響するかもしれないので、とりあえずは市販の点眼薬でやりすごす。鬱陶しいことが重なると気分も鬱々とするものだが、ここは気力を保たねばならない。

金土日と3日間、パートナーは出張で今夜帰ってきたのだが、ノアノアが俺のくさくさする心境を察知したのか、今日は一日中俺にくっついていてくれた。

散歩後、脚の間に収まるノアノア。
散歩後、脚の間に収まるノアノア。

ノアノアは周囲の状況を読み取るのが上手な犬で、忠犬に育ったものだと思う。犬に寄り添われていると、心が和む。許されるなら、病院に連れて行きたい位だ。一方プットニョスは自由気まま。まあそれはそれで、家にいることが当然と寛いでいる訳だから、まあよしとしよう。

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