癌再発の治療記録2021 1/7週目


癌が再発し、放射線照射と抗がん剤投与による治療をすることとなり、今回の治療の記録をつけておく。今回の病名は頭頸部側壁癌。治療は全体で7週間かかる予定。その49日で俺は変わる。今までの俺は一旦死に、新しくそこからの生き方が始まる気持ちだ。縁起でもない、などと思わないでほしい。物理的には死なない。医師には「この治療は『良くなった人もいる』のではくて、よくなります」と言われている。しかし、これを体験した後の自分は、健康状態にせよ、ライフスタイルにせよ、確実に変わる。ここは今まで生きてきたことに一区切りをつけ、新しい生き方に渡るための期間なのだ。

新しい生き方。俺のエゴや欲に満ちた今までの生き方では、極楽浄土は無理だ。しかし、人の道に外れるようなことは(多分)しなかったし、多少は人の役に立つこともしてきたつもりだ。高潔たれ、と自分に課していたこともある。だから、六道のうち人間道か、悪くて修羅道を生きるのではないかと想像している。人間であれ、修羅であれ、パートナーじょにおがともにいてくれれば、それで良い。

2021/2/1 月 総合1日目 入院1回目初日

朝、国立がん研究センター中央病院に電車で向かう。多少ナーバス。指定時間は10:30。入院手続きをしてレンタルパジャマに着替え、採血、検温、身長体重測定。午後2時に初めての放射線照射。治療中・治療後ともに特に体感の変化はない。初回なので当然。続いてレントゲン、歯科で抜歯箇所の抜糸とガーゼ交換。その合間合間に医師からの今回の治療の説明と、看護師からの各種説明。治療方針への希望として、苦痛を少なく、副作用を軽減してもらう方針でと伝えておく。抗がん剤投与は明日から。

2021/2/2 火 総合2日目 入院1回目2日目

抗がん剤投与初日
放射線治療2回目

朝8時半に放射線照射。この日に抗がん剤シスプラチンを入れる。少し予定が遅れて昼からまず吐き気止めを15分の点滴で、次いで4時間かけて補液。30分ごとに小用に行きたくなる。左の首がこわばり、喉の奥がわずかに引っかかるような感じがするが、特に前者は首を意識的に動かしたりストレッチしたりしていないせいなのか、分からず。わずか2日で放射線照射の体感影響が出るとも思えず。飲食物の嚥下には問題を感じない。

午後4時過ぎに抗がん剤投与開始。2時間の点滴。終了後、幸いにして吐き気は出ず、夕食も完食。午後9時時点で感じるのは、高音域の持続的な耳鳴り。8時頃には多少の頭痛があったが痛み止めで収まった。ただ、じっとしていて感覚が自分の体のことのみに集中すると、何となく「いつもの状態」ではないな、という感じがする。だるいと言えるほどのだるさではないが、何も感じないことが健康であるとするならば、「何か」がある感じ。シスプラチンの副作用にしゃっくりもあるらしいが、ここ2時間で2度ほど単発で出ただけで、ヒックヒックはしていない。

と、思ったのも束の間、どんどん調子が悪くなってくる。気持ちが悪い。自分と外界との境目が曖昧になるような感じ、むかつき、吐き気、悪寒。寝てしまえば、と思い、処方された睡眠導入剤を飲むが、眠れない。呼んだ看護師なかなか有効な対処を提案できない。が、吐き気止めを2種類飲んだあと、時間を空けてさらに点滴で(内服できる気がしない、と言ったので。吐き気があれば当たり前だ)。値落ちする直前になると、不快なそれらの身体症状が自覚されて目を覚まし、の繰り返しで、結局朝まで眠れず。

2021/2/3 水 総合3日目 入院1回目3日目

放射線治療なし

朝食はまったく摂らず。この日は祝日のため放射線照射はなし。相変わらず午前中は調子の悪さが続行していたので、これでもし放射線照射に呼ばれていたら大変なことになっていたのではないか。副作用の軽減について、緩和ケアの医師と腫瘍精神科の医師がそれぞれ俺のベッドを訪れてきて、対処を講じることになった。昼食も摂らず。

吐き気止めの種類はまた変わった。オランザピンという薬で、統合失調症や双極性障害における躁状態の緩和に用いられる他、抗がん剤投与に伴う消化器不全に使用される薬だとある。副作用に対する不安が強いことを伝えたので、これが処方されたのだろう。

夕食はキャンセルすることにして、夕方少し寝る。何となく最悪期は脱した感じになったので、杏仁豆腐を1個。とりあえず戻さずに済んだ。夜にはまた吐き気止めと、違う種類の睡眠導入剤(デエビゴ)を飲む。ともかく、3日目でこれとは、大変先が長い思いだ。

2021/2/4 木 総合4日目 入院1回目4日目

放射線治療3回目

緩和ケアの医師と腫瘍精神科の医師にもチームについてもらい、身体症状は倦怠感が主になり、吐き気は抜けた。デエビゴはよく効き、睡眠を取れた。が、倦怠感というのはこういうものだったのかとあらためて意識させられるほどで、ほぼ一日、PCも開けず、スマホを眺める程度で寝ていた。が、夜になり、少し食欲は持ち直して、軽い軽食系に変えてもらった夕食メニューを食べられ、少しほっとした。水分を摂るためにポカリスエットを買いに行ったら、食事の匂いで食欲を刺激されて、サンドイッチ1パックを買って食べた。夜、オランザピンとデエビゴを処方してもらう。

2021/2/5 金 総合5日目 入院1回目5日目

放射線治療4回目

比較的良く眠れた。この日は放射線照射の後、放射線科の診察もあり。照射部位にややあたたかみを感じたが一時的。少しこわばる感じ。左扁桃腺跡は、治療開始前膨らんでいた箇所が早くも縮まってきている。全体の放射線照射量を減らせるかもしれないので、二週間後にCTを撮って検査するとのこと。

身体感覚としては、以前倦怠感はあるものの、多少PCに向かえる程度にはなった。3食ともに完食。夜食にサンドイッチ1パックを食べた。もさしたる変調なく過ごせた。

2021/2/6 土 総合6日目 入院1回目6日目

放射線治療なし

放射線照射は土日は休み。退院して帰ろうと思えば帰れたほどの調子だが、やはり初回、そしてパートナーじょにおは出張中なので、帰宅して1人不安が募ると体調に影響しかねず、大事を取っての入院続行。食事はほぼ問題なし、倦怠感もやや改善。夕飯時には大変食欲があったが、出された軽食はかけそばと酢の物とみかん1個だけだったので、豚骨ラーメン(!)とサンドイッチを買って食す。夜はよく眠れた。

2021/2/7 日 総合7日目 入院1回目7日目

放射線治療なし

倦怠感あり、午前中はほぼ寝て過ごす。微熱のせいか(37.2度)。シスプラチンでは便秘症状が出る人もあるとのことだが、ややその傾向あり。しかし便通もあったので、少し安心する。午後は比較的安定。退院に際して処方される薬の説明など。左首はやや強くこわばりを感じる。が、気づけば左顎下のリンパ節の腫脹は小さくなっていて、その圧迫の不快感はなくなっている。少し腹を下し気味だが、固形物の摂取量が少ないせいか。

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