癌の記録 自宅療養、再診、再手術


再診、再手術

10月末に、退院後初の再診があった。術後すぐの話では、取るべきところは取れたという話だったが、実はそうあっさりとはいかなかった。

そのことは、組織検査をしなければ分からなかったようだ。組織検査の結果、癌はウィルスに起因するもので、ステージ1とのこと。そこはまず安心材料。病変部位の大元は扁桃腺で、そこは術前の見立てどおり。リンパ節については、病気に気づくきっかけになった大きな腫脹の他、1ミリ程度の物も含めて怪しいところは取れたと。
しかし、「あっさりとはいかなかった」とは何かというと、扁桃腺の腫瘍が完全に組織内に内包されていればよかったのだが、微妙に辺縁部にかかっていて、それが取り切れていない可能性がある(おそらく取れているとは思うが、残った可能性がゼロとはいえない)というのだ。

放射線治療か、再手術か

その箇所をどうするかが問題なのだが、予防的な選択肢は2つ。再手術と放射線治療だ。今回手術を受けてみて、唾液も飲み込めず一昼夜寝ていたあの苦しさと、再手術で入院、そして当然退院後の自宅療養が控えるとなると、その間日常生活がストップするので、通いは少々大変だが、日常生活を送りつつできるのではと、一旦放射線治療を選ぼうとした。

ところが、放射線科で放射線治療による副作用の説明を受けたところ、かなり広範で、しかも治療後数年にわたって現出する可能性のあることもあると判明。味覚に影響もあれば、放射線を照射すると、治療中もだいたいの人はカロリードリンクなどに食事を切り替えると。そうなると、日常生活との両立を目論んでいても、心理的にも肉体的にも負担。殊、味覚に影響を及ぼすと(味が変わって感じられたり、感じにくくなる可能性)、食事も作れなくなるではないか。

このサイトにシャンパーニュレビュー飲食店レビューを記していることからも分かるとおり、自分にとっては味覚は大きな問題で、何より、それによって俺の食事を喜んで食べてくれているじょにおに食事を作れなくなるのは痛い。仕事が終わって、今日は何を作ろうかなと考える。じょにおが最近どんな食生活をしているか(出張続きだとまともな食事も摂れなかったりする)、そろそろあれが食べたい頃かと考え、作る。じょにおが帰宅して、一緒にテーブルにつく。感想を聞きながら食事をする。表情を見ながら、あるいは食べっぷりを見ながら、ああこの人に食事を出せるというのは幸せだなあと実感する。そしていつの間にか、じょにおの生を形作っていることに気づく。そして、食を通じて感覚を共有する。食事とは、単に栄養摂取に関する飲み食いの問題ではないのだ。

再手術を選択

そこで、再手術を選ぶことにし、話を進めている。おそらく今月末頃にまた入院の予定だ。手術で取れてああ安心、あとは手術部位の違和感と慣れていけばと思っていたところにその話で、実はかなり落ち込んだのだが、やらないことには仕方がない。放射線科から頭頸部外科に連絡を入れてもらい、担当医は別のオペ中で、当番医に話をしたところ、「ああそうですね、それがいいと思います」と。あとはまた、術前に麻酔医にかかって、歯科で口腔ケアをして、となるわけだ。

誕生日を前に

来週、誕生日を迎える。今の状態では飲食に問題はなく、飲酒もできるので、例年通り食事にでかける予定でいる。再手術をしたらまた1ヶ月ほどは普段どおりの食生活はできないので、それを予感しながらの覚悟をもって、そして、こうなりながらも誕生日を迎えられたことについての喜びと共にの食事となることだろう。十分に味わい、じょにおとの時を楽しみたい。

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2 Replies to “癌の記録 自宅療養、再診、再手術”

  1. こんばんは。
    自分に当て嵌めて読んでいたら、耐えられないと思いました。喉風邪の痛みがずっと続く痛みって、・・・、正直最初の手術で多少、時間が掛かっても綺麗に取ることは出来なかったのか!と思ってしまいました。
    放射線治療にも副作用という問題があるのですね。ちゃんと説明して下さるお医者様で良かったですね。
    それにしても再手術では、落ち込むのも無理はないと思います。でもこうしてブログに書き込みをしているということは少しでも気持ちが立て直してきているのかなと推察しております。
    同い年の身としては、自分の身体にもガタがきているので、いつ何が起こるか分からないので、余り無責任なことも書けませんけど
    ただ、パートナーとの食事の件は良く分かります。僕が好きなユーミンも結婚生活は一緒に食事をすることだと断言されていました。
    いろいろと大変なことがあると思いますが、一つひとつ乗り越えていって下さい。長々と失礼しました。

    1. 何首烏。>
      ご丁寧にコメントいただき、ありがとうございます。コメントされているとおりで、痛みや違和感を経験した後では、どちらかというと手術としては軽いはずの再手術の方が気が重いです。そうは言ってもやっておかねばならず、これを最後と腹をくくって切られてきます。食事は本当に大事で、空腹を満たすだけのためのものではないので、この再手術も早く乗り切って、年末年始のおいしい物が色々出てくる時期に、気兼ねなく食事を楽しめるようになればといいなと思っています。

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